黒子のバスケ

泡沫
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3歳年上の姉のことを人は神様が愛情込めて作り上げた人形みたいに美しいと言う。

そう、オレの姉、緑間さつきは美しい。
そして優しい。


幼少期から喧嘩の絶えなかった両親に代わり、姉はオレに全ての愛情を注いでくれた。
オレが小学六年生の時、両親は離婚した。
母がオレたちを引き取る代わりに父からマンションを貰った。
しかし母はすぐに男を作り、マンションを出て行った。
金だけは振り込むが子供を放置する母。
中学三年の姉がオレを育てるしかなかった。


オレが中学三年の時の担任は中村といった。
いつもオレや姉に親身になってくれた。
その中村がオレが中学卒業後に、姉の恋人になった。

中村真也が姉やオレによくしてくれたのは、中村が姉を好きだったからだと知ったオレは何ともいえない気持ちになった。

しかし姉は高校を卒業してすぐ働き始めたから、姉が心の頼どころになる誰かを求めた気持ちもわかる。
それが自分でないことが悔しかったが。


オレは姉を愛している。
それは、男が女を愛する気持ちだ。
オレは姉弟で愛し合ってはいけないということすら知らなかった。
誰も教えてくれなかったから、知らなかった。
だから何かあるたびにオレを抱きしめてくれる姉の柔らかい体とか、甘い香りとか、優しい笑顔とか、美しい容貌、全てを愛した。

姉とは何度もキスをしたし、抱きしめてもらったし、抱きしめた。
それがいけない事だと知ったのは、姉が中村と付き合い始めた時だった。

「真太郎ももう高校生になったし、真太郎はかっこいいからすぐに恋人ができるわよ。
いつまでも姉離れできないのはダメだし、姉とキスしたり、スキンシップするのは中学生までよ。
そして中学生まで私とそんなことしてたって人に言ってはダメよ。」
姉はそう笑った。

中村のせいで姉がそんな事を言うのだと思ったオレは、姉に中村は頼りなくて姉さんを任せられない、姉さんには幸せになって欲しい、でも中村では少し不安だと言った。
義兄になるのならもっと頼りがいのある人がいいと。

オレが三回目にそう言った時、姉は中村と別れたが、オレとはもうキスもスキンシップもしてくれなくなって、オレは姉弟では愛し合えないのだと悟った。

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