黒子のバスケ

My Little Girl
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中学生の時に出会い、バスケを通じて分かり合ったのに一度は決別したものの、もう一度絆を結びなおしたキセキの世代と呼ばれた赤司征十郎、緑間真太郎、青峰大輝、紫原敦、黄瀬涼太、黒子テツヤの六人は、高校卒業後、それぞれ別の道を歩み始めた。

赤司は実家の会社を継ぎ、緑間は製薬会社の研究員、青峰はバスケのプロリーグ、紫原はシェフとして有名レストランで修行中、黄瀬は芸能界に入り、黒子は保父。
道は別々だったが、彼らは決別していた時を埋めるべく、全員でお金を出し合って六人で暮らす家を建て、そこで一緒に暮らしている。


それは全員が23才の時だった。

ある日突然、何の前触れもなく自身が勤める保育園から黒子が一人の女の子を連れて帰ってきた。
ピンクの髪が特徴的な、目の大きい、幼児ながらも整った顔立ちで、大人になったらさぞ美人になるだろうと思われる女の子。

しかし、いきなり女の子を連れて帰ってきた黒子に、その日たまたまリビングに集合していた全員が騒然となった。

「その子はどうしたんだい?」
それでも真っ先に自分を取り戻したのは赤司で、赤司は黒子の後ろに隠れるようにしている女の子に視線を向けた。

「僕の働いている保育園に預けられていた桃井さつきさんです。
年齢は6才、来年小学校入学です。
さつきさんはお父さんと二人きりで暮らしていたんですが、昨夜迎えに来るはずのお父さんが、連絡もないまま未だにお迎えに来ないんです。
それでとりあえず家につれてきました。」

「いやとりあえずつれて来たって…とりあえずつれて来ちゃっていいんスか?!」

「テツ先生、私、一人でお家でお留守番できるよ、大丈夫だよ…。」
黄瀬の大声にさつきは体をびくりと震わせ、黒子のシャツの裾をぎゅっと握った。

「涼太、後で覚えておくんだな。
さつきちゃん、小さな女の子が一人でお家でお留守番は危ないから、お父さんから連絡が来るまではここにいるといい。
ここにいる5人は、テツ先生のお友達だ。
僕は赤司征十郎。
よろしく。」
怯えてるさつきに向って笑い、赤司は手を差し出した。

「よろしく…」
さつきは黒子の後ろから出てきて、赤司の手をそっと握る。
その手の小ささに、赤司は人生で初めて強く思った。
この子を絶対に守らなければと。
理屈じゃない、本能でそう感じた。

赤司がそうしたからか、緑間もさつきに今日のラッキーアイテムの熊のキーホルダーを渡しながら
「オレは緑間新太郎なのだよ。
よろしく。」
と自己紹介をした。
「桃井さつきなのだよ…よろしく…」
熊を受け取りつつおずおずと言ったさつきにリビングは笑いに包まれ、紫原と青峰も同様にさつきに自己紹介した。

大声を出してさつきを怯えさせた黄瀬だけはなついてもらえずにしょげていたが、そのしょげ方に同情したらしいさつきが黄瀬の頭をそっと撫でて
「いい子、いい子」
とした瞬間、黄瀬はさつきにメロメロになってしまった。

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