黒子のバスケ

最後に笑うのは
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物心付いた時からボールに触れてストリートでプレーしてきた青峰のそばで青峰のプレーを見ていたさつきは、もともと社交的だったせいもあってか、青峰とプレーする人たちとも仲良くなる事ができた。
そしてさつきは、仲良くなった人からバスケの事を色々教えてもらっていた。


だから帝光中に進学した時、青峰がバスケ部に入ると言ったから、さつきはマネージャーをすることにした。

青峰にとってバスケはやってるのが普通で特別なものでないように、さつきにとってもバスケットは身近なもので、プレーはできなくてもそばにあるのが普通だった。

青峰はテストで一軍に所属が決まった。
一年生で一軍に所属が決まった選手は青峰のほかに3人いて、途中入部なのに一軍に所属した人が一人いた。
さつきが一軍のマネージャーに抜擢されたのは、青峰の幼馴染で青峰を通して他の一年とも交流があったからだった。

一年で帝光の一軍に所属しているのはすごいことだが、やはり一年。
上級生のマネージャーには言いにくいこともあるだろうという主将の虹村の気遣いで、さつきが一軍のマネージャーになった。
さつきが一軍マネージャーになった理由は、ただそれだけだった。

だけどある日、次の対戦校についての説明をしていた虹村に、青峰が対戦校の一年生エースを知っている、ストリートで一緒に何度もやったことがあるけど、一度もオレを抜いた事がないから大丈夫だと思うと言った時
「うーん、今回はそんなに簡単にはいかないと思うよ。
彼だってドリブルスキルを上げてチェンジオブペースとかできるようにしてるだろうし、あと、多分フェイダウェイと、まだ確率は悪いと思うけど3Pも打てるようになってきてると思うよ。」
と言ったのはさつきだった。

その言葉に、その場にいた青峰と紫原以外の全員が驚いた。

一軍コーチが
「なぜ、そう思う?」
とさつきに聞く。

「ストリートでずっと見てたけど、彼、バスケの才能はある上にすごく負けず嫌いでした。
ストリートでは大…青峰くんを一度も抜けなかったけれど、才能はあるから中学で部活に入ったなら、そういう技術を教えてくれる人がドリブルで相手を抜くためのスキルを身につけさせると思うんです。
あとストリートでは青峰くんにシュートをブロックされ続けてきたから、当然ブロックされにくいフェイダウェイを練習するだろうし、今までとは違うって見せるために3Pも打つと思います。
いきなり3Pとか、フェイダウェイとか打ってそれが決まれば、今までと違うって青峰くんに思わせることができます。
そういうちょっとした事で、流れって簡単に変わるじゃないですか?」
さつきの答えを青峰と紫原以外は目を見開いて聞いていた。

青峰は
「さつきぃ、お前オレがあいつに負けるっていうのかよ?!」
と不服そうにしていたが
「だからそうならないように気をつけてねってことだよー。」
とさつきがフォローしている。

「フェイダウェイとか3Pとかチェンジオブペースとか簡単にできるわけねーだろ!」
「諦めなければ必ずできるとは言わねぇ、だけど諦めたら何も残んねぇっていつも大ちゃんが言ってるんでしょ!」

言い合う幼馴染を放っておいて、帝光中学主将の虹村修造はコーチと話をして、とりあえずその日は青峰とマッチアップさせて様子を見ることにした。

そして試合当日、さつきの言った通りの成長を見せた選手に全員が驚く中で青峰とマークチェンジをした虹村は、逸材はプレーヤーだけじゃなかったのかと思っていた。


試合後、コーチと虹村からさつきは
「これからは練習中はマネージャーの仕事はドリンクとタオル配るくらいでいい。
後は徹底的に一軍選手のプレーを見て、各個人の課題とか成長率を予測しろ。」
と言われた。

一年生のさつきがマネージャーの仕事をしなくていいからとにかく体育館にいろと言われた事で、さつきに対する他のマネージャーからの風当たりは強くなった。
そのたびに虹村が庇っていたが、それでも止まないやっかみや嫌味に虹村はさつきを部活中は常にさつきを自分のそばにいさせるようになった。

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