黒子のバスケ

□坊ちゃまの言う通り!U
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「本日はお招きありがとうございます。」
会場についてすぐに青峰は主催者でもある赤司財閥総帥、つまりは赤司征十郎の父にさつきをつれて挨拶をしていた。
その隣には赤司もいる。

「大輝君、今日は来てくれてありがとう。
こちらのお嬢さんが噂の婚約者、桃井さつきさんかな?」
赤司の父はにこやかに青峰とさつきを見た。

「そう。
婚約者の桃井さつき。」
青峰が頷いたので、さつきは深く頭を下げた。
「初めまして。
大輝さんの婚約者の桃井さつきと申します。」

「知ってるよ、小さい頃から征十郎がよく言っていた。
大輝君には可愛い幼馴染がいて、その子と遊んでみたいんだけど、大輝君がなかなか彼女と遊ばせてくれないと。」
赤司の父は鷹揚に笑う。

「ちょ…何言ってるんですか!」
父の言葉に赤司は慌てたように父を止める。

「それじゃ、これからは仲良くして下さいね。」
さつきは慌ててる赤司に微笑んだ。
それに赤司も自然と笑みを返していた。
「こちらこそ。」
赤司がさつきに向って手を差し出し、さつきはそれをそっと握った。

二人が握手を交わしているのを青峰が面白くないと思いつつ、赤司の父の手前それを表情に出さないようにしていた時
「本日はお招きありがとうございます。
父は緊急な手術が入り、代理で参りました。
父がよろしくと申しておりました。」
「真太郎君か。
今日は来てくれてありがとう。」
青峰と同じように赤司の父に挨拶に来た緑間真太郎が立っていた。

その後ろから、黄瀬、黒子、紫原も現れ、それぞれが父の代理できた事、父がこれなかった理由、父がよろしくといっていたと伝える。
そのまま他愛無いことを話している最中に赤司の父は他の出席者に呼ばれ
「それじゃ幼馴染同士、今はなかなか集まる機会もないだろうから、征十郎、空いてる部屋を好きに使っていい。」
と息子の赤司に言い残して去っていく。


その場には青峰とさつきの他に赤司と緑間、黄瀬と黒子と紫原が残された。

6人は小学校こそ同じだったが、中学はそれぞれ別の学校に進学し、高校も別々だ。
それで6人が一緒に集まるのは久しぶりだ。
赤司の父としては気を利かせてくれたつもりなのだろうけど、中学・高校と青峰は一番にさつきを優先してきたから集まりに行く回数が減っただけだし、さつきがこいつらと一緒とかないわーと内心は苦々しく思う。

「その子が桃っちっスよね?!
オレ、黄瀬涼太っス!
よろしくっス!」
KISE化粧品の創業者のひ孫で現社長の長男の黄瀬がさつきに向って微笑んだ。

さっそくさつきに話しかけてんのかよ、黄瀬ェ!と青峰は黄瀬をぶっ飛ばしたくなる。

「桃井さつきです。
よろしくお願いします、黄瀬さん。
緑間さんも、黒子さんも紫原さんも、これからよろしくお願いします。」
そんな青峰の心は知らずに、さつきは微笑んで頭を下げている。

青峰はその笑顔を息をするのも忘れて見つめていた。
それくらい、さつきの笑顔が綺麗だった。
青峰以外の5人も、さつきに見惚れている。

だけどさつきはそんなことには気が付かず、青峰の腕をつついた。

「久しぶりに会った幼馴染と積もる話もあるでしょう?
私はパーティ楽しんでるから、大ちゃんも楽しんできてね。」

それはつまり、この会場でさつきを一人きりにするということだ。

「おい…」
待て、オレのそば離れんじゃねぇぞと言いかけた青峰にかまわず、さつきは会釈して6人から離れていく。

お前なんでそんな自分自身に無頓着なの?!
お前を見てる野郎どもの視線に気がつかねぇのかよ?!

慌ててさつきを追いかけようとした青峰の前で男がさつきにぶつかった。
男が持ってたグラスからシャンパンがこぼれ、さつきのむき出しの肩にかかる。
「きゃっ…」
「すみません!
大丈夫ですか?!
すぐに着替えを用意します!」

ナンパの常套手段じゃねーか!

「いえ、大丈夫です、お気遣いなく。」
さつきは断るが、男の方も
「いえ、早く脱いでクリーニングに出したほうがいいですよ。」
と引かない。

青峰がその男を怒鳴りつけようとした時、青峰の肩を赤司が掴んだ。

「騒ぎを起こすな、ここは僕に任せろ。」

赤司の言葉に青峰は黙るしかなくなる。
赤司は自分達の中では一番大人びていて、自分達のリーダーみたいなものだ。
子供の頃から赤司の言う事にはなんでか逆らえないのだ、自分たちは。

「今宵のパーティ、主催は赤司家です。
申し訳ありません、着替えは赤司家ですぐに用意します。
大丈夫ですよ。」
赤司はさつきの腰に手を回そうとしてた男の手をやんわりと払って笑う。

主催の赤司家の一人息子が出てきたことで、男は引かざるを得なかった。
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