黒子のバスケ

□Sweet Time
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5分が経ち、部室のドアを細く開けてこっそりと中をうかがう緑間と紫原と黄瀬と黒子は唖然とした。

部室のベンチにさつきが座っている。
そして青峰はその膝に頭を乗せている。
さつきは青峰の短い髪を撫で、青峰はさつきの髪を指先に巻きつけては離すを繰り返している。

「本当に、なんで大ちゃんはああ暴言ばっかりなのかな?」
青峰にそういうさつきの目は穏やかで優しい。

「あ?
さつきが緑間のこと紳士とか言うからだろ?!」
青峰も、さっきと違い、険しい顔をしていない。

「だって本当にミドリン紳士じゃない。
きーちゃんが変なことを言うたびに、庇ってくれるし。」

「黄瀬、殺す。
そもそも黄瀬がお前に変なこと言うのが悪ぃんだよな。」
青峰の目がギラッと光った気がして黄瀬は身震いした。

「まぁそうだけど…」
「でもお前だって悪ぃんだよ!
エッチとか言われて赤くなってんじゃねーよ!」
「だって…」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、再び俯いてしまうさつきの初心な反応に、赤司を覗く4人は心拍数を上げていた。

が、次の瞬間、目を見開く。

「まったく、もう処女でもねぇくせに。」
ええええ?!
驚きすぎて叫びが声にならなかった。

「もうっ!
なんですぐにそういうこと言うのかな、大ちゃんは!」
さつきはさらに顔を赤くして青峰のおでこをペシッと叩いた。
「いてぇな!!
本当の事だろ?!」
「そうだけど…だから恥ずかしくないなんてことはないの!」
唇を尖らせるさつきの髪を青峰が引っ張る。
「いたっ!
もうっ!」

怒るさつきの唇に青峰が上体を起こして唇で触れた。

「あんま、黄瀬を喜ばすような反応すんじゃねーよ。
あと、あんま他の男をオレの前で褒めんじゃねーよ。
緑間を紳士とかよー、テツをかっこいいとかよ、赤司を頼りがいがあるとか、紫原を大きい子供みたいで可愛いとか言うの。」
いきなり青峰にキスされてさらに赤くなってるさつきに、青峰が拗ねたような口調で言う。

「もしかして大ちゃん、やきもちやいてるの?」
さつきは照れ隠しのように笑って聞いたが青峰がぷいっとそっぽを向き、
「悪いかよ」
と吐き捨てるように答えると、さつきは笑って青峰に抱きついた。

「バカなんだから。
ミドリンは紳士だし、テツくんはかっこいいし、赤司くんは頼りがいがあるし、ムッくんは可愛らしいけど、でも私が大好きなのは大ちゃんだけだよ!」

青峰はさつきを強く抱きしめ返して笑う。
「だったら毎日そうオレに言やぁいいんだよ。」


「僕たちの前ではケンカなんかしていても、二人きりになればご覧の通りだ。」
この展開についていけてない4人に赤司がくすっと笑って部室の中を指差す。

なんだあの二人、付き合ってたのか…。

「あの、緑間っちは紳士で、黒子っちはかっこよくて、赤司っちは頼りがいがあって、紫っちは可愛いで…あの、オレはなんなんスかね?」
涙目で聞く黄瀬と
「セクハラ男だろう。」
「お前はセクハラ男なのだよ。」
「セクハラ男じゃないですか?」
「そだね、黄瀬ちん、次さっちんにセクハラしたら捻り潰すよ?」
その黄瀬に追い討ちをかける4人に気が付かず、さつきと青峰は幸せそうに抱き合っていた。

END
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