黒子のバスケ

□Sweet Time
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今日は部活はテスト前で禁止だが、バスケ部の部室にはレギュラーでキセキの世代と呼ばれる赤司、緑間、紫原、青峰、黄瀬の5人と、幻のシックスマンと言われる黒子、一軍マネージャーのさつきがいた。

前回、テストで赤点をとった青峰と黄瀬に残りの部員が勉強を教える事になっている。
とは言っても、主に教えているのは赤司とさつきだ。

緑間は教えているうちに怒り出し
「馬鹿には付き合っていられんのだよ!」
と拒絶、
紫原は
「めんどいしー」
と教える事を拒否してお菓子を食べ、黒子は
「僕の話を黄瀬君と青峰君が聞いてくれるわけないでしょう?」
とやんわりとだが緑間同様教える事を拒絶、消去法で赤司とさつきしかいなくなってしまったのだった。

成績はどんぐりの背比べの二人。
赤司とさつきの質問に珍回答続出だった。

「大輝、なんなんだい、回答は。
僕はこの連立方程式を解けと言ったんだ。
意味がわかんねーと書いてあるが、意味がわかんねーのはお前の方だ。
授業をちゃんと聞いていれば、連立方程式くらい解けるだろう!」
赤司は青峰をものすごい目で睨んでいて、青峰は不満そうだが口ごたえをするのはさすがにやばいと思ってるのか黙っている。

「えーと、長い髪が絡まって痛いけど髪はそんな私の心を知らないってこれ、長からむ 心も知らず 黒髪の乱れて今朝は 物をこそ思への和歌の現代口語訳なのかな、きーちゃん。」
「そうっス!」
「長からむ心で末長らく変わらない心って意味なんだよ…。
これは男性から送られた後朝の歌に答えるもので…」
「後朝の歌ってなんスか?」
「一緒に一晩過ごした後に男性が女性に送る歌の事だよ。」
「一晩一緒にってエッチしたってことっスか?」
「えっ…!?」
「えっじゃなくて、エッチっスよ。
桃っちってば反応がめっちゃ可愛いっス!!」
一方の黄瀬とさつきは黄瀬がさつきを何かにつけてからかっていて勉強も進まない。

「黄瀬、いい加減にするのだよ!」
真っ赤になって俯いてしまったさつきを可哀想に思い、緑間が助け舟を出すのとほぼ同時に青峰が
「赤司ィ、こんなバカさつきが人に勉強教えられるわけねーんだから、他のやつにしてやれよ。」
と馬鹿にしたような口調で言う。

「ミドリン、庇ってくれてありがとう。
ねぇ、青峰くん、私、少なくとも青峰くんよりは成績いいよ?
なのになんで青峰くんにバカとか言われなきゃなんないのよ?
少しはミドリンの紳士な気遣いを見習ってよ!」
さつきは青峰を睨む。

「桃井さんの言う通りですね。」
「うん、さっちんの方が峰ちんよりは全然、頭いいしー。」
「なんだよ、じゃオレもおは朝見て毎朝ラッキーアイテム持ってくればいいんだな?!
ならそうするのだよ。」
「青峰ぇぇぇ!」

緑間のマネをする青峰に怒る緑間、それを見て
「青峰っち最高っス!」
爆笑する黄瀬。
黒子と紫原も笑いを噛み殺し、赤司は口元を引きつらせている。
それが怒りによるものか、おかしさによるものかの判断は付きかねる。

「それくらいでガングロクロスケがミドリンみたいな紳士になるわけないでしょ?!
ミドリンに謝りなさい!
ミドリンは人事を尽くすために一生懸命に努力してるんだよ?!
青峰くんみたいにふざけてるんじゃないんだから!
おは朝アイテム持ってきて、なのだよをつけたくらいでミドリンになれるわけないでしょ、ガングロ!」
「ああんっ?!
オレがガングロだからってなにかお前に迷惑かけたかよ、ああ?!」
「暗いところだと制服の上着と歯と目だけ白くて怖いのだよ、お前は!
それが迷惑なのだよ!」
自分のマネをした青峰に怒っている緑間がさつきの肩を持ったので、言い合いは青峰VSさつき&緑間になってきた。

「あーあ、なんですぐにケンカになっちゃうんスかね、青峰っちと桃っちは。」
黄瀬がその様子を見て頭の後ろで手を組んで椅子の背もたれに寄りかかった。

「元はといえば黄瀬君が桃井さんをからかってばかりいるからいけないんでしょう?」
黒子がそんな黄瀬を窘めるが
「緑間っちも桃っちも、普段はオレらなんかより全然大人なのに、青峰っちが絡むとなんであんなガキみてーになっちゃうんスかね?」
黄瀬は全然気にしていない。

「原因はお前だ涼太。
涼太は明日外周50周追加だ。」

それまで静観していた赤司が黄瀬を睨むと
「こうなってはもう勉強は無理だ。
今日は解散。
大輝とさつきは放っておいて帰るぞ。」
とさつきと一緒になって青峰に文句を言ってる緑間の腕を掴んだ。

「帰るぞ、真太郎。」
さつきと青峰はそんな赤司の様子にも気が付かずに言い合いがエスカレートしている。

「え?
青峰君と桃井さんはこのまま放っておいていいんですか?」
黒子も紫原も腕を掴まれた緑間も驚いている(外周50周をつげられた黄瀬は青くなっている)が、赤司は
「問題ない。
早くしろ。
主将命令だ。」
と言い切ったので、青峰とさつきを置いて赤司と共に四人は部室をでた。

部室のドアを閉めても、二人は5人が帰ることに気が付いていないみたいだった。

「いや、マジで放っておいていいんスか?
さすがに青峰っちが桃っちを殴る事はないと思うっスけど、いつまでも言い争ってんじゃないスか?」
「そうなのだよ、赤司。
第一、青峰は桃井に対して失礼すぎる。
あれでは桃井が怒る一方なのではないか?」
「そうですね、僕も緑間君の意見に賛成です。」
「そうだよー、あれでどうやって仲直りすんのー?」

黄瀬に同調する緑間、黒子、紫原の三人を見て赤司はニヤリと笑った。

「5分後にもう一度、こっそりと部室を覗けば分かる。」
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