黒子のバスケ

最後の恋
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目が覚めたら随分と気分はラクになっていたが、熱を測ってみたらまだ38度はあった。

それにしても普段の疲れが出たのか、寝てしまったのは午前中だったはずだが、目が覚めたら午後四時に近かった。

薬飲んでねーや、何か食うか。
おかゆがあるとか母さん言ってたな。
森山はベッドから出て階段を下りる。
一階のキッチンに向うためだ。

階段を降りて、玄関を通り過ぎようとした時、ちょうど玄関のインターフォンが鳴って森山は何も考えずにドアを開けていた。
「はい。」
「無用心ですよ、森山さん。
来訪者を確かめもしないでドア開けるなんて。」
「そうっスよ。」
そこにはいたのは桃井さつきと黄瀬だった。
だけど森山ビジョンでは黄瀬は見えていなかったけれど。

「なっ…」
驚いてる森山のおでこにさつきは手を当てた。
「まだ、熱下がってないじゃないですか?
薬は飲みました?
その前に食事はしました?
こまめに水分補給してますか?」
さつきは心配そうに森山の顔を覗き込んでいる。

「…いや…っつかなんでここに?」
「昨日はお見舞い、ありがとうございました。
お陰さまですっかり熱は下がりました。
だけど森山さんが熱だしたって聞いて、お見舞いに来たんです。
お加減はいかがですか?
まだ熱高いみたいですけど大丈夫ですか?」
さつきは心配そうな顔で森山を覗き込んでいる。

やべ、今日、ひげ剃ってねぇんだけど…いや、元が薄いから一日剃らないくらいで目立つ事はないかもしれないが、なんでこんな日に限って…。
しかもパジャマ姿だよ、オレ…!

さつきに顔を覗き込まれた森山はそんなことを瞬時に考えていたが
「せっかく熱が下がったから大人しくしてろって言ったのに、桃っちがどうしても森山先輩の見舞いに行きたいってわざわざ海常まで来たんで、一緒に来たっス。」
森山の目に入ってなかった黄瀬が話し出したので現実に戻る。

「あ、黄瀬、お前いたのか。」
「ひどいっス!!
やっぱもう帰るっスよ、桃っち!」
黄瀬は森山の言葉にさつきの制服の袖を引っ張ったが、
「そういうわけに行かないでしょ。
森山さん、もしまだ、薬とか飲んでないんだったら、あのおかゆも薬もスポーツドリンクも買ってきたんで、上がらせてもらってもいいですか?
私のせいで森山さん、熱出しちゃったんでしょう?」
申し訳なさそうに森山を上目遣いで見るさつきに森山は
「どうぞ。」
と言っていた。

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