黒子のバスケ

無限大の愛
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桐皇学園の学園祭。

さつきのクラスはコスプレ喫茶をしている。
さつきはワンピースのボア・ハンコックのコスプレをさせられている。

顔を出しに来た若松と桜井の顔が真っ赤になり、青峰には
「お前のぶっとい足なんかだれも見たくねーんだよ!!
肌隠せよ!」
と言われたが、今吉と諏佐からは
「いやー、お前のクラスメート、ええセレクトしたわー。」
なんて言われた。

さつきとしては恥ずかしくて仕方ないのだけど。
でも銀魂のエリザベスのコスプレとかしてる人もいるから、それに比べたらいいのかな?
さつきは入ってきたお客様にいらっしゃいませと声をかけながらそう自己完結した。



『ようこそ桐皇祭へ!』
とかかれた看板の前で赤司は足を止めた。

中学からずっとお付き合いをしている桃井さつきの通う桐皇学園で学園祭があると聞いて、赤司はさつきに黙って上京していた。
久しぶりにさつきに会いたいからだ。
それを黙っていたのはさつきを驚かせたかったから。


帝光の頃から付き合ってきたさつきが桐皇学園に…青峰のそばにいることを選んだ時、赤司は言った。
「さつきの好きにすればいい。
さつきがそばにいれば、大輝も今以上にスレることもないだろうからね。
だけどさつきのそばは大輝に譲っても、さつきの恋人だけは誰にも譲る気はないよ。」
さつきは泣きながら赤司に抱きついてきて、
「うん、私も征くんの彼女でいたいし、他の人に征くんの彼女の座を譲る気はないよ。」
と泣いてるのに笑った。

それからは遠距離恋愛になってしまったが、関係は良好だ。

ただ、会いたい時にすぐに会えることはないし、そばにいて欲しい時にさつきはそばにいない。
赤司征十郎としてはそんな気持ちは隠したいところだが、それでも寂しいという気持ちがどうしても湧き上がってくる。
だからこうして黙って会いに来た。


入り口でもらったマップ&見所をみながらさつきのクラスを確認すると、コスプレ喫茶と書いてある。
さつきは何の格好をしているんだろう、どんな格好をしていても自分にそのコスプレの種類なんてわかりはしないのだが…なんて考えながらさつきの教室に向って歩いていたら
「コスプレ喫茶のハンコックが、まじめっちゃレベル高ェ!」
「蛇姫のコスがその辺の高校生にできるとは思えねぇけど?」
「いや、それがすっげぇ美人でスタイルよくて胸でかい子が蛇姫やってるらしい。
行ってみようぜ!」
と話している三人組みが足早に赤司を追い越していった。

ハンコックとか蛇姫とかは赤司にはよく分からないが、美人でスタイルよくて胸でかい子には心当たりがある。
赤司も慌ててさつきのクラスに向った。

「なんだ…ここは?」
赤司はその行列を見て思わず呟いていた。

店に入りたいらしい客が列になっている。
そして
「入店まで40分待ちでーす!」
と叫んでいるのは寅柄のビキニを来た女の子。
『並んで待て』
というプラカードを持っているのは白い化け物。
赤司はそれが何か、どうしてこの出し物が人気なのか、よく分からなかった。

その時、出てきた女性に列の人間はどよめき、
「蛇姫!」
とか
「ハンコック!」
などの声がかかる。

赤司は完全に固まっていた。

「次のお客様、どうぞ…じゃなくて入ってもいいぞ、下々のもの!
美しいわらわが許す。」

顔を出したのは桃色の髪を黒く染め、豊満な胸元を惜しげもなく晒し、長いスカートははいてるものの、スリットから形のいい足を見せて、大きなイヤリングを耳元で揺らしているさつきだったからだ。

「すげぇ!
マジパネェ!」
「うわー、高校の文化祭でこんなもの見れるとは思わなかったわ。」
「元々レイヤーさんなのかな?」
「すっごい完成度高いよね、このクラス。
ラムちゃんもすごいし、エリザベスに桜木花道に雲雀恭弥にブルーローズにぼたんでしょ。
気合、入ってるよね。」

桜木花道は知ってる。
中学時代から部内で何度もスラムダンクは回し読みした。
周囲の声を聞きながら、そういえばあの頃からさつきは征くんと同じ赤い髪だから、桜木花道が好きといってくれていたっけ。
なんてもはや現実逃避としか言えないことを考えていた赤司に、

「えええっ?!
征くんっ?!」

さつきが気がついて声を上げる。

ああ、よりにもよってどうしてこんな格好してるところをみられてしまったんだろう?

それになんで征くんがここにいるの?

お客様を案内しようとしていたさつきは、もうそれしか考えられなくなっていた。

征くんはこんな格好してる私のこと、怒るに違いない…。
昔から征くんには
「むやみに肌を露出しないこと。
さつきはそれでなくても容姿が男受けするんだから、隙を見せるような格好をするな。」
ときつく言われていた。
きっと怒られる…!
呆れられる…!
嫌われたらどうしよう…?!
さつきが真っ先に思ったのはそれだった。

「さつき、あの赤い髪のイケメンさん、知り合い?」
ラムちゃんが固まったさつきに聞く。
壊れたからくり人形みたいに頷くさつきに、このコスプレ喫茶の発案者兼実行委員のラムちゃんも頷いた。
発案者兼実行委員の彼女が一番露出が多いラムちゃんを引き受けたので、クラスメートは誰もコスプレの種類に文句が言えなくなってしまったという事情がある。

「それならちょっと早いけど休憩してきたら?
いってらっしゃい。」

ラムちゃんはさつきが最後までこんな露出の多いコスプレをするのがいやだと言っていた理由がこの彼なんだろうと何となく分かったのでそう言った。
そのまま彼女を休憩に送り出す。

ハンコックがいなくなることに列からブーイングが上がったが
「ダーリン電撃だっちゃ!」
と笑顔でウィンクしたラムちゃんにそれはあっという間に納まった。

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