進撃の巨人

□手紙
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初めての壁外調査の時、恐怖したのかベソベソ泣いていたペトラをリヴァイは助けた。

その時
「死にたければそのまま泣いていろ。」
とリヴァイは言った。

この恐怖の中、それでも勇敢な兵士のままで命を散らしていった部下をリヴァイはたくさん見てきた。
だからリヴァイに助けられてなお、泣いてるペトラに呆れた。

だけどその言葉にペトラは立ち上がった。
泣きながら、恐怖に震えながら、それでも立ち上がって剣を握った。

巨人の恐怖を知らないものは生き方を学べない。
巨人の恐怖に屈したものは立ち上がれない。
だけどペトラは巨人の恐怖を知りながら立ち上がった。

ペトラのその姿は『悪くなかった』。
だからリヴァイはペトラのことを気にかけるようになった。

ペトラは恐怖を知ったからか生き方を学び、生きて壁外調査から帰ってくる。
そして仲間を生かすための応急処置を覚えた。
組織、仲間の大切さを理解し、それを新兵に諭す優しさを持っている。


初陣での失態から考えたら信じられない成長ぶりにリヴァイは内心驚き、そしてそんなペトラを慕う男性兵士を疎ましく思う自分に気がついた時、リヴァイはペトラに躊躇することなく気持ちを伝えた。

「お前が好きだ。
イヤじゃなかったら俺と付き合え。」

ペトラは
「あんな失態を見せたから軽蔑されてると思ってました。
嬉しいです。
今の私がいるのは兵長のおかげです。
ずっとずっと、あなたを慕っていました。」
と器用なことに泣きながら笑った。


それから二人は恋人同士になった。
人類最強なんて言われていたってリヴァイだってただの人間だ。
部下にみせないだけで、戦い、部下を失う日々を辛いと思う時もある。

そういう時に何も言わなくてもペトラは察してくれた。
深夜、人目をさけてリヴァイの自室に来てリヴァイに膝枕をしてくれた。
「お疲れ様です」
と笑って髪を撫でられた時
「俺はガキじゃねぇ」
と言いながらもリヴァイは妙に安心して目を閉じた。
そのまま寝てしまったリヴァイをペトラは朝までずっと膝枕をしていてくれた。


殺伐とした戦いの中に身を置いてるリヴァイにとって、同じように戦いの中に身を置いてるはずなのにそれを感じさせないペトラは癒やしだった。

リヴァイにとってペトラはなくてはならない存在で。

そして生き方を学んだからこそ、俺の前からいなくならないのだろうと、絶対なんかないのにそう思っていた。
巨人相手に絶対ないなんて有り得ないことだったのに。
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