黒子のバスケ

この世界に一人しかいないあなたへ
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緑間真太郎の場合

部活の練習が終わったあと、緑間がさつきに言った。
「今日のラッキーアイテムを買いに行くのに付き合って欲しいのだよ。
今日のオレのラッキーアイテムはウサギの飾りのついたヘアゴムだ。
そんなもの、男一人で買いに行くのは気が引ける。
桃井が一緒に来てくれたらありがたいのだよ。」
それでさつきは緑間と買い物に行くことにした。

緑間と一緒にショッピングモールの中に入っているファンシーショップに行き、緑間の目当てのものを買ったあと
「礼をしたいのだよ。」
と緑間がいい、同じショッピングモール内にあるケーキ屋に二人で入った。



「今日のお前のラッキーフードはチェリーパイなのだよ。」
緑間はそういうと、店員に
「頼んでたものを持ってきてください。」
と言う。
運ばれてきたのはホールのチェリーパイだった。

「ミドリン、これ…」
驚くさつきに
「今日はお前の誕生日だと聞いているのだよ。
誕生日おめでとう、桃井。
桃井はチェリーパイが好きだと聞いている。
好きなだけ食べればいいのだよ。」
と緑間はめがねを上げる。

「これ、持ってきてくださいって店員さんに言ってたってことは予約してたってことじゃないの?」
さつきの質問に
「お前の誕生日を祝いたいと思ったのだよ。」
と緑間は答える。

「本当にありがとうね、ミドリン。
とってもうれしいよ!」
笑顔でぺこっと頭を下げるさつきにいつもより穏やかな顔をした緑間は
「これは日ごろの感謝の気持ちなのだよ。」
と紙袋まで差し出す。
「入浴剤を集めるのが趣味だと黄瀬から聞いたのだよ。
気に入るかは分からないが、プレゼントなのだよ。」
と言う緑間にさつきはさらに笑みを深め
「ありがとう!
それじゃ、ミドリンの誕生日は私がお祝いするね!
7月7日、楽しみにしててね!」
と言う。
「ああ、楽しみにしてるのだよ。
ところで、その紙袋は家に帰ってから開けて欲しいのだよ。」
といわれ、その場で紙袋を開けることはしなかった。



緑間に送ってもらって自宅に帰ったさつきは自分の部屋で着替えたあと、紙袋を開けた。
そこにはいろいろな種類の入浴剤が入っていた。

「うわぁ、可愛いなぁ♪」
一つ一つを確認して笑顔になっていたさつきは紙袋の中にメッセージカードが入っていることに気がつく。
開けてみると緑間らしいきれいな字で
『来年も再来年もこれからもずっと、桃井の誕生日を祝うことができたらいいと思っているのだよ。』
と書いてあった。

「ミドリン、反則だよ、こんなの…
でもすっごいうれしい。」
真っ赤になりながらもさつきは携帯を手にすると緑間のメールアドレスを呼び出した。

END

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