黒子のバスケ

□青峰大輝のひな祭り
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「おい、ブス。
これはどうすんだ?」
虫除けシートでお内裏様を包みながら青峰は聞いた。

「持っていくよ。」
さつきは答えながらお雛様を虫除けシートで包み込む。
「これ、私が生まれた時に、おじいちゃんが買ってくれたの。
桃の節句は三月で、私が生まれたのは五月なのに、おじいちゃんはこれを買って贈ってきてくれたんだって。
だから連れて行きたいの。」

「そっか、それならいいんじゃね?」
青峰の答えにさつきは笑う。
「うん。」

「それよりお前、本当にカラードレスは着なくていいのかよ?」
1カ月後に、青峰とさつきは結婚式を控えている。

さつきは式でウェディングドレスと白無垢は着るけれど、お色直しにカラードレスを着なくてもいいと言った。
青峰としては、その姿を見たいとも思っているのだけれど。



青峰は高校を卒業してすぐに日本のプロバスケリーグに入った。
今年二年目だが、それなりの結果を出しているせいか、年棒も多くもらっている。

もうすぐ大学三年生になるさつきのことを、養っていけるだろう。
そう思ったから青峰は自分の誕生日にさつきにプロポーズした。
『あん時の約束、守ってやるよ。
20才で結婚なら結婚遅いとはいわねぇだろ?』

それにさつきは
「約束、覚えててくれたんだね。」
とあの時みたいに目を真っ赤にしながら笑った。


「だからカラードレスは着なくていいよ。
だってあの頃からずっと、私が憧れてたのは白いドレスと白無垢だもん。」

「隣にいるのがテツじゃなくていいのか?」

「私が放っておけなかったのは、そばにいたかったのは、結局はテツくんじゃなくて大ちゃんなんだよ。
だから、桐皇に進学したんじゃない。
どんな時でも、雛人形だけは絶対に一緒にしまってくれてありがとう。
約束、忘れないでくれてありがとう。」

さつきがじっと青峰を見つめる。

あの時、雛人形を出しっぱなしにすることになったさつきの祖父に青峰は感謝している。
あのことがなかったら、きっと青峰はさつきに結婚するなんて言えなかっただろう。

式の時、孫の晴れ姿を見て喜ぶだろうさつきの祖父には礼を言おうと青峰は思っている。

そして何より、自分のそばにずっといることを選んでくれたさつきに感謝してる。

「バァーカ、こっちこそ、ずっとそばにいてくれてありがとな。」
青峰はさつきの鼻を指先で弾くとさつきのことを抱きしめた。

END
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