黒子のバスケ

□青の姫君
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翌日の朝練の時。
普段からさつきは一番に体育館に行って体育館の鍵を開け、タオルとドリンクの用意をする。

そのために職員室に体育館の鍵を取りに行った時
「お早うございます、桃井さん。
君はいつも早いですね。
そして時間に正確ですね。」
と声をかけられてさつきは振り返る。
そこにはバスケ部監督・原澤克徳が立っていた。

「おはようございます、監督。
監督こそ、毎朝早くに来てくださってありがとうございます。」
さつきは原澤に頭を下げてから微笑みかける。

「いえ、僕は監督ですから生徒が早く来るのに自分が行かないなんてそんなことはできません。
それより、これ、いつもいつも早く部活に来てくれる君への僕からの感謝の印です。」
にっこりと笑った原澤は、さつきに向かって小さな紙袋を差し出した。

「え?」
「たまたま家に帰る途中に寄ったドラッグストアで見つけたのでよかったらどうぞ。
それ以外はみんな売り切れていて、それしかなかったのですが…」

「あけてもいいですか?」
さつきは不思議そうな顔をして、原澤に聞く。
「どうぞ。」
と言われ、紙袋を開けたさつきは顔を綻ばせた。
「可愛い!」
中に入っていたのは、板チョコレートの形をしたパッケージのグロスだった。
「いいんですか、本当に頂いても?」
さつきは嬉しそうに原澤を見上げる。

「ええ、君に上げるために買ったものですし、返されても困ります。
それからこれは、他の部員達に。
昼休みにでも食べるようにと伝えてください。」
原澤がそう言ってさつきに渡したのは、大袋に入ったいくつかの種類のチョコレートだった。
「はい、分かりました!
監督、本当にありがとうございます!」
さつきは満面の笑みを浮かべて原澤に礼を言う。

(いいえ、君のその笑顔を見ることが出来ただけで僕は満足ですよ。)
さすがに教師だし言葉にはできないけれど、原澤は心の中でだけそう思い、さつきに笑みを返した。
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