黒子のバスケ

□無自覚バカップルの未来
1ページ/2ページ

寮長から外出許可を取って、久しぶりの日曜日の買い物に出ようとしてたオレは自分の部屋を出たところで同じクラスで、バスケ部主将をつとめている今吉翔一に出くわした。

今吉はいつも飄々としているのと、一見すると温和そうな笑みを浮かべているので誰とでも仲良く話すが、ある程度親しくなるとこいつが性格悪くて腹黒いと分かる。
オレもある程度話すようになってから今吉の本性を知った口だけど、それでも何かと気が合うので、そこそこに仲がいい。

それでその今吉が珍しく少し疲れたような顔をしているのに気が付いて、オレはそういえば今日はバスケ部の練習試合があったことを思い出した。
「そういや今日は練習試合があるって言ってたな。
お疲れさん。
疲れた顔してんなー、珍しく。」
オレは今吉に声をかけた。

「石塚やないか、どこかに行くんか?」
今吉はオレに笑いかけてきたが、それはいつもの笑顔と違った。

「ちょっと買い物にな。
それよりお前、大丈夫か?
顔疲れてんな。
……あのキセキの世代のエースがなにかやらかしたのか?」
オレは同情しながら今吉に聞いていた。


バスケ部には今年、超大型ルーキーが入部した。
なんせ、練習は出ないけど試合は出ることを条件に桐皇に入学したという破格の扱いの新人だ。
だけどオレだったらそんな後輩いやだ。
そんな後輩、どんなにすごくてもいらない。
だから今吉は偉いと思う。

ただ、バスケ部にはすんげぇ美人なマネージャーも入部した。
入学式で答辞を読んだから、彼女は首席合格なんだろう。
スタイルもいいし、どこの部の男もバスケ部が羨ましいと騒いだ。
オレは口には出さなかったけど、同じことを思ったから覚えている。

バスケ部の大型新人は青峰って名前で、バスケ部のマネージャーは桃井さつきちゃんという。
青と桃色で色的に似合う上苗字な上に、二人は幼馴染だと今吉が言ってた。
あんな可愛い子がマネージャーになってくれても、オレはあんな後輩はいらないが。

そう思っていたら、今吉が疲れたように笑った。
「青峰だけのうて、桃井もや…幼馴染って見てて疲れるわ。
それより、帰宅時間の決まりあるやろ。
買い物行くんならはよ行かんと時間のうなってしまうで。」
「あ、そうだな、それじゃオレ行くな。」
俺は今吉の言葉に頷き、今吉に向かって手を振って寮を出た。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ