黒子のバスケ

キセキの借り物競争
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秋晴れの気持ちいいある日。
帝光中学校では体育祭が行われる。

青峰は不機嫌そうに隣を歩く桃井さつきを見る。
青峰もさつきも帝光の指定ジャージ姿だ。
制服の時はだぼっとした感じのセーターでごまかしているけど、ジャージ姿だとさつきの胸の豊かなふくらみはごまかせない。
これでジャージを脱いでシャツ姿になったらもっと目立つだろう。

そう思うと腹が立つ。
さつきの胸を見るのはオレだけいい。

もう一つ腹が立つ事に、青峰とさつきは違うチームでそれもムカつく。
赤司のいる赤組にさつきは黒子といる。
青峰は、緑間と共に青組だ。
紫原と黄瀬は白組。
チームはうまく力が分散されたような感じがするけれど、赤組にさつきがいるのは絶対に赤司のせいだと思う。

それは緑間も黄瀬も紫原も言っていたけれど、赤司に堂々と意見する勇気があるヤツは一人もいないので、赤司に直接いうことはなかった。

「ねぇ大ちゃん、なんでそんなにふてくされてるの?」
青峰の表情に気が付いたのか、さつきが聞いてくる。
「ふてくされてねー。」
そう答えるものの、さつきは
「眉間にしわ寄ってるよ?」
と青峰の顔を覗き込んでくる。

「体育祭の競技が気にくわねーんだよ。
何の偶然かオレら全員出ることになってんだろ、借り物競争。
借り物競争なんて…本当にやる事になるとは思わなかった。
パン食い競争と同じくらい、誰もが知っていてもやんねー競技だと思ってたのに。」
青峰は慌ててごまかす。

「あー、確かにね。
知名度はあるけど実際に行われることは少ない競技だよね…。
しかもバスケ部レギュラー全員、借り物競争にでることになるなんて…。
でもほら、楽しそうじゃない?
去年は虹村主将が『可愛いと思う女子』って借り物でね、私のこと連れて行ってくれたんだよー。
嬉しかったなー。」
ニコニコ笑うさつきに再び眉間に皺を寄せたけど青峰は黙っていた。

今年、もしそのお題が自分のところに来たら絶対さつきを連れて行こう、そう思いながら。

そして多分、同じ事をあいつらもぜってー思ってると思いながら。

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