黒子のバスケ
□想いの鍵
2ページ/3ページ
高1のWCが終わった後、さつきは黒子に告白して振られた。
『桃井さんに告白されました。
だけど、彼女はまだ気がついていないだけで、本当は青峰くんを好きだと思います。
高校進学と言う人生の選択さえ、君を基準に選んだんですから。
だから、よろしくお願いします。
桃井さんを幸せにしてあげてください。』
黒子からそんなメールが来た時、青峰は直感的にテツもさつきを好きだったんだと思った。
だけど、さつきのことを考えて、オレのことを考えて、テツはさつきを受け入れなかった、そう思ったのに、さつきを探しにいった青峰が見たのはいつものストバスコートのある公園でさつきを抱きしめている黄瀬の姿だった。
「きーちゃん、ごめんね…」
さつきのか細い声が青峰にも聞こえてきた。
「いいんスよ、桃っちがもし黒子っちに振られたらちゃんと慰めるって約束したじゃねっスか。
今はいっぱい泣いて、いっぱいオレに甘えて、いっぱいオレを利用して?
それで桃っちが元気になるなら、オレ、いくらでもそばにいるっス。」
黄瀬がさらに強くさつきを抱きしめる。
青峰は呆然とそれを見ていた。
その半年後だった。
さつきから
「きーちゃんに告白されたんだけど…どうしよう?」
と相談されたのは。
自分に相談してくるってことは迷ってるってことだろう、青峰はそう思った。
さつきは黄瀬を好きなわけじゃない、好きだったらすぐに受け入れるはずだ、青峰はそう思ったから言った。
「お前の好きにすればいいだろ?」
これできっと、断るだろう。
もうすぐだ。
あの時、黄瀬にさつきを好きだと言われて協力すると言ってしまい、想いにかけた鍵を、もう少しで開けることが出来る。
青峰はそう思っていた。
だけど、さつきは黄瀬を受け入れて、二人は付き合い始めた。
あの赤司でさえ、
「は?
涼太がさつきを落としたっていうのか?
嘘だろう?
そんなの、僕も予測できなかった…。」
と驚いたくらいだから、二人が付き合う確立はきっと0に近いものだったのだろう。
自分のカンは間違えてなかったはずだ、青峰は今もそう思っている。
ウェディングドレスを着たさつきを目の前にした今も。