黒子のバスケ

美女と野獣と超野獣
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担任教師に呼び出され、いつもより部室に来るのが遅れた青峰は他の部員はいない部室で着替えをしていた。

その時、部室のドアが開いて入ってきたのは灰崎祥吾だった。
「ダイキ、今日はサツキちゃんはいねーの?」
灰崎は青峰に挨拶するより先にさつきのことを聞く。

「さつきは今日は生徒会の仕事があって遅れて来るんだよ。」
ワイシャツと下着代わりのTシャツを脱いでロッカーに放り込み、部活用のTシャツを着ながら青峰は答えた。

「すげぇよな、サツキちゃん。
生徒会の役員でバスケ部の一軍専属のマネージャーで勉強できて、可愛くてスタイルもいい。
お前、サツキちゃんと付き合ってるんだっけ?」
灰崎は着替えようともせず、青峰に聞き返す。
「あ?
まぁな。」

何度その質問すんだ、バカと内心で思いつつ、青峰は適当に答えた。


幼馴染だったさつきと青峰が付き合い始めたのは中一の半ば頃だった。
大ちゃんと呼ぶとみんなから色々言われるんだもん、さつきはそう言って青峰くんと呼ぶようになったけど、青峰はそれが面白くなかった。
だから一貫してさつきと呼び続けた。

そのせいで周りからは付き合ってるのかと何度も聞かれたけど、青峰はさぁなで押し通した。

そうしたらさつきが
「だからそうやって青峰くんが否定してくれないから、みんなが誤解するんじゃない!」
と怒ったので、
「なら本当に付き合えばいいんじゃね?」
って言ってやったら驚いた顔したさつきに
「噂通り、オレと付き合っちまえばいいじゃねぇか。」
もう一度言ったら、さつきは呆れたような顔をした後、

「ちゃんと言ってくれなきゃやだよ。」
と青峰にあっかんべーをした。
こういう時、幼馴染っていやだと思う。
さつきが何を求めているのか、口に出さなくても分かるからだ。
それでも言わなかったらきっと一ヶ月以上は口をきいてもらえない。

だから口を開いた。
「好きだっつーの。」

「私も大ちゃんが好きだよ。」

あっかんべーから一転、微笑む幼馴染は本当にキレイで、クラスの男子が桃井、桃井と騒ぐ理由がよく分かった。

いや、本当は誰よりも青峰が一番、さつきがキレイなことは分かってた。
だから、他の誰にもやりたくなかった。
やれなかった。
だから、好きだと言ったのだ。

とにかくこうして青峰とさつきは付き合い始め、バスケ部内でも祝福されている。
それはさつきの公私混同しない態度と、青峰が絶対的エースで練習量もチームで一番であることは誰もが認めているからであるわけだが、そんなさつきに最近ちょっかいをかけているのがこの灰崎祥吾だった。

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