黒子のバスケ

□親愛なる君へ
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その一ヶ月後、赤司とさつきは付き合い始めた。
一ヶ月、あの赤司征十郎がひたすらさつきに自分の気持ちを伝え続け、さつきもそれにほだされたらしかった。

もとより、赤司とさつきは部活の時の接点が多かったし、さつきが赤司を同学年とは思えないほど頼りがいがあって憧れるなんて言っていたのは知っている。
ほだされて付き合い始めたのだとしても、さつきの方もすぐに赤司に本当に恋をするようになったのは見ていてすぐに分かった。


いつもいつもさつきが隣にいた。
青峰の隣にはさつきがいて、さつきの隣には青峰がいた。
それが当然で、これからもずっと続くんだと思っていた。

何の確証もないずっとが続くわけなかったのに、それに気が付くのが遅すぎた、ただそれだけだ。
さつきをさつきと呼んでいいのは、自分だけだと思っていた。
何の確証もないのに、そんなわけの分からない自信だけがあった。
さつきが他の男を名前で呼ぶ日が来るなんて思わなかった。


「征くん、汗ちゃんと拭かないと風邪ひくよ。」
さつきの声で我に返る。

青峰の視線の先でさつきが赤司の首にかけたタオルを自分の手にとって、赤司の顔の汗を拭う。
赤司が優しい笑みを浮かべてさつきを見る。

「ありがとう。」
「どういたしまして。」

それに返されたさつきの笑みは、長い付き合いの自分でさえ、一度も見た事がないような美しい笑みだった。
長い付き合いでさつきのことは何でも知ってると思っていたけど、あんな顔で笑うなんて知らなかった。

「なんでオレ、かくしょーのねー自信ばっかあったんだろーな。」

青峰の呟きを黒子は聞こえない振りをした。
何といっていいか、黒子には分からなかった。
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