黒子のバスケ

恋をしちゃいました
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体育館で練習していた帝光中学のバスケ部の一軍の選手達は
「おい、迷子届けに来てやった。」
と突如響いた声に一斉に手を止めた。

そこにはどこかの学校の制服を着た男と、男物のブレザーで包まれているものの、制服が汚れているのだと一目で分かるさつきがいた。
さつきは頭からすっぽりとタオルがかけられていて顔はみえないものの、タオルの合間から覗く髪は桃井さつきのもので見間違うことはない。

「さつき!!」
一番最初に我に返った青峰がボールを放り投げてさつきに向って走っていく。

それを皮切りに、赤司と緑間と黒子、少し遅れて黄瀬と紫原も慌ててさつきに向って走っていく。

「お前どうした?!
何が…」
タオルの中を覗き込んだ青峰は顔を強張らせた。
さつきの頬が腫れ、口の端から血が出ていたからだ。

「何があった、桃井!」
青峰の後ろからさつきの顔を覗き込み、息をのんだあと、赤司は厳しい顔をする。

誰かに暴力を振るわれたとしか思えないが、さつきは今日は他校の練習試合を見に行ったはずだ。
そして普段から男性に声をかけられることの多いさつきを一人で偵察に行かせない様に、だれか他のマネージャーを一緒に行かせる様にチーフマネージャーの先輩にお願いした。
だれかと一緒なら、こんな目にあうはずがない。

「真太郎、チーフマネージャーをすぐに部室に呼んでくれ。
僕たちも部室へ。
すぐにミーティングだ。
大輝、さつきを連れて行ってやってくれ。」

「こいつ殴ってた女どもはここの制服着てたぜ。
同じ帝光の生徒じゃねぇの?」
それまで黙ってた男が口を開く。

「わざわざうちのマネージャーを送ってきてくれて、ありがとうございます、花宮真さん。」

赤司は男…花宮真に視線を移した。

「キセキの世代の主将に名前を覚えてもらってるなんて光栄だな。」

「こちらこそ、無冠の五将の一人、花宮さんに存じてもらえるなんて光栄です。
さつき、大輝と一緒に部室に。」

赤司がそう言った時、さつきが花宮真の腕を掴んだ。
「花宮さんも一緒に…」
震える声でさつきが言ったので、赤司は花宮に帰れとも言えず、結局花宮も含めて部室に行くことになった。

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