黒子のバスケ

君だけのヒーローVer.黒子
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今吉から主将を任され、新体制のチームが発足してから、若松は練習後、自主練に励むようになった。

若松は青峰にみたいに才能のかたまりじゃないけれど、努力をすることで後輩に希望をもたせること、それが主将の役目だと思っている。

それに、青峰はWC以降は部活に出ることが増えたが、唯我独尊な性格は変わらず、若松はイライラすることが多い。
そういう時はさつきが間に入ってくれて、うまく若松と青峰を引き離し、それ以上、空気が悪くならないようにしてくれるが、そういう積み重なったイライラを解消する役目も部活の後の自主練は兼ねていた。

それに若松が自主練をするようになってから、さつきは練習後もすぐに帰らずに、部室の掃除をするなどして若松が自主練を終えるのを待っていることが増えた。
主将になりたての自分を気遣ってくれているのだと思う。

部室に入ると自分に
「お疲れ様です!」
と笑顔でタオルを渡してくれるさつきと練習試合の相手のことだったり、練習内容や、自チームの選手のこと、バスケはまったく関係ない雑談などをしながらさつきを家まで送っていく…それが最近の若松の日課だった。

一度だけ、
「青峰と帰らなくていいのか?」
と聞いたことがあるが、
「今、大変なのは大ちゃんより主将ですよね?
私は大ちゃんではなく、チームや主将をサポートするためにいるので。」
と答えてくれた。

そういう風に自分のことを思いやってくれる人がいることは嬉しいし、それが可愛い女の子ならなおさらだ。
だから若松はあの青峰ともなんとかやっていけるんだと思う。

本当に桃井には頭があがんねーや。

それに、もう自分でも気がついている。
さつきをマネージャー以上の感情でみていることに。
だから、青峰と帰るよりは自分がさつきを送って行きたい。

そう思いながら部室に向って歩いていた若松は
「キャーッ!」
というさつきの悲鳴に部室に向って走り出していた。

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