黒子のバスケ

ミスター&ミス桐皇
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「練習の前にミーティングをします。」

監督の原澤がそう告げた時、嫌な予感がしなかったのは青峰だけで、他の桐皇学園男子バスケ部部員は何か嫌な予感がしていた。
そしてその予感は当たっていた。

部室には監督の原澤と、主将の若松とマネージャーの桃井さつきが目だけは笑ってない笑顔で部員達を見渡している。
ダンディーなイケメン監督と、男らしい精悍な主将と、美人で性格もいいマネージャーの三人が目の笑ってない笑顔で三人並んでいる様は見るものに威圧感しか与えなかった。

そんななかあくびをしている青峰はただのバカかもしくはアホ峰だ、桐皇学園二年生の桜井良はそんなことを思っていた。

「全員いますね。」
原澤の声に全員が頷く。

「それではミーティングを開始します。
今日の議題は、文化祭でのバスケ部の出物についてです。」

「あ、オレそういうメンドクサイのパス!」
真っ先に反応した青峰にさつきが紙を一枚突きつけた。
「今年度のバスケ部の部費の清算書。
見て、大ちゃん、残高のところ。」
さつきはさっきよりさらに笑みを深めた。

「あ?!
おい、さつき!
部費の残高3000円ってこれどーすんだよ?!
お前、マネージャーのくせになんで部費ちゃんと管理しねーんだよ?!」

青峰は部費の残高を見てさすがに驚く。
まだ二学期の途中なのに部費の残り3000円はないだろ、それは部員全員の思いだった。

「私のせいじゃないわよ?」
さつきはそれはそれは美しいほどの笑みを浮かべている。
若松も監督も、だ。

「青峰、決算書よく見やがれ、コラ!!
てめえの破損したゴールの修理代だけでいくらかかってると思ってるんだ?!」

その笑顔のまま、怒鳴った若松を桜井は若松さんこんなすごいことができるのかと、本気で感心した。

「は?
え?」
青峰は慌てて決算書をひったくり、それを指でたどっていくうちに少しづつ顔が青くなっていく。

「バスケ部は実績がありますからね。
部費はどこの部よりも学校から出ています。
これ以上の増額は無理だと、そう学校から言われました。
さて、どうしましょうかね?
このままでは活動ができませんよ。」

原澤はにっこりと笑いながら前髪を弄る。
ちなみにもちろん、目は笑っていない。

「だから、文化祭で自分達で稼ぐしかねーんだよ!!」
若松はドンと壁を叩く。

それを受けてさつきも頷く。
「そういうことです。
衣装は私の知り合いに借りることができました、無料で。
今年のバスケ部の出し物は、執事喫茶です!」
さつきは紙の束をとりだし、それを部員全員に配った。

『執事喫茶計画書』とそれには書いてある。

今までバスケ部五人抜いたら商品あげるなんて企画しかやったことのない桐皇バスケ部においてそれは初の試みだった。
唖然としてる部員。

だけど若松はそれはそれは恐ろしい笑みで
「異論はないよな?」
と聞いたので、誰も何も言えなかった。

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