黒子のバスケ

君のためなら死んでもいい
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お風呂上りで後は寝るだけ。

その前にベッドに寝そべって雑誌を捲っていたさつきは携帯の着うたに慌てて携帯に手を伸ばす。

伊月さんかな、そう思ったけど、表示されている名前は『赤司くん』だった。
メールじゃないなんて珍しいな、と思いながらさつきは携帯を手にとる。

「もしもし?」

「やぁ、久しぶりだね、さつき。」

「うん、そうだね。
元気?」

「ああ、元気だよ。
それで、いきなりなんだけど、今日の夜、敦と一緒にこっちに帰ってきたんだ。
明日、みんなで会えないかな?」

明日は日曜日、伊月と会う予定がある。

「えと…あの、明日は…ちょっと…」

赤司相手に行けないとは言いづらい。
だけど先約がある。
どうしよう、そう思っていたら赤司が言った。

「先約があるのかい?
だったら『彼』も一緒に連れてくるといいよ。
キセキの世代が全員集合すると言ったら、きっと『彼』も来てくれるんじゃないかな?」

「みんなで集まるの?」

「そうだよ。
敦も帰ってきてるし、テツヤも大輝も涼太も真太郎も来るよ。
だからさつきも『彼』と一緒においで。
明日、10時に帝光中の正門前で待ってるよ。」

赤司はそれだけ言って電話を切る。
赤司の中で決定事項になってるらしい明日のことは、もう何も言っても聞いてもらえないな、さつきは経験から分かっているからため息をつくと、電話帳画面に切り替え、伊月の携帯番号を呼び出した。

「もしもし、桃井ちゃん?」

「伊月さんこんばんは。
もしかして、寝てましたか?」

「ううん、まだ寝てないよ。
それよりどうかした?」

コール三回ででた伊月にさつきはさっきの赤司からの電話の内容を話す。

「いやだったらいいんです。
赤司くんには断りますから。
すみません。」

謝るさつきに、伊月は笑う。
「ううん、別にかまわないよ。
きっと連中にとって、桃井ちゃんは大事だと思うし。
だから会いたいんだろ、きっと。
まだ黒子や青峰にもオレたちのこと言ってないんだろ?
だったらちょうどいい機会だし、彼らに話をしに行くよ、明日10時に帝光中の正門前ね。」
伊月はありがとうございますと言うさつきに大丈夫だよと答えて、電話を切った。

「まぁなんかしてくるだろうとは思ったけど、早かったな。」
伊月は切れた携帯を見つめて呟いた。


『今夜は月がとても綺麗だね。』
『私も、月がとても綺麗だと思います。』
あの言葉でお互いの気持ちを確認できた後、黄瀬のお勧めだというカフェに行った時に改めて伊月はさつきに告白し、二人は付き合い始めた。

そのことはまだ誰にも言ってないけど、黒子と青峰はあの日、自分をつけてきていた。
そして読書が好きな黒子が月が綺麗の意味を知らないはずがない。

それで、あの二人から他のキセキに連絡が行くのも時間の問題だと思っていた。
思ったより早かったけどね。

伊月は呟く。
「それにしても桃井ちゃん…赤司が『彼』をつれて来いって言った時に、なんで赤司が明日オレと会う事を知ってるのか、疑問に思わないのか?
まぁ、そんなとこも可愛いけど。
川より可愛い。
やべ、キタコレ!
信号機を買って、シンゴうっきうき!」

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