黒子のバスケ

賽は投げられた
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青峰は紙袋を持って部室を出て行く前にノートを見ながら
「すげぇな…」
とか、
「よく調べてあんなー」
とか独り言を言ってる若松に
「さつきに変な気起こすんじゃねぇぞ!」
と言っておく。

「は?
変な気なんか起こすわけないだろ。」

若松の言葉にホッとした気持ちを押し隠しながら部室のドアノブに手をかけた青峰は、その手を止めた。

「好きな子相手にそんなことするわけねーだろうが、好きな子は大事にするのが男だろうが。」
若松がそう言葉を続けたからだ。

青峰は振り返る。
若松は青峰を見ていた。

「てめえなに言って…」

「オレは桃井が好きだからな。
変な気、起こすわけねぇんだよ。
好きな子は大事にしたいからな。」

青峰を見ている若松はまっすぐな目をしていて、それが冗談だとは思えなかった。

「おい、そりゃぁオレへの宣戦布告ととっていいのかよ?!」

「は?
何、お前、桃井のこと好きなの?」

青峰の言葉に若松は驚いた顔をしている。

「あ?!
当たりめぇだろ、好きとかそんなもんとっくに通り越して、さつきがそばにいねぇとか考えられんねーし。」

青峰は若松を思いっきり睨みつける。
若松はしばらくは驚いた顔のまま青峰を見ていたが、ふっと笑った。

「宣戦布告も何もねぇだろ?
お前みたいに桃井大事にできねーやつがオレと同じ土俵に立ってると思ってるんじゃねーよ。
桃井がお前なんか選ぶわけねーだろうが。」

「言ってくれるじゃねーの、センパイ。」

青峰の顔に不敵な笑みが浮かぶ。
それを見返して若松も笑みを深めた。

「「お前なんかに負ける気はねーよ。」」

賽は投げられた。


相手がエースだろうと遠慮はしねぇ。


相手が主将だろうと遠慮はしねぇ。


END

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