黒子のバスケ

溢れるほどの幸せをVer.黒子
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目がさめて、すぐに独特の消毒薬みたいな匂いに気がつく。

自分は多分病院にいるんだな、ぼんやりとそんなことを思っていたら、
「目ェ覚めたか?」
唸るような低い幼馴染の声がして、さつきはそっちの方を見た。

怒った顔の青峰、涙目の黄瀬、黒子と緑間と紫原は戸惑ったような顔をしていて、赤司だけはいつもと変わらない顔をしていた。

「私…なんでみんなここにいるの?
バスケは?」

「お前が倒れたのにバスケなんかしてられるか、バカが!!」
青峰はひどく機嫌が悪いようで、まるで吐き捨てるように言った。

確かに自己管理が悪く、それで倒れてみんなに心配をかけたのは悪いけれど、だからってなんで大ちゃんがそこまで機嫌悪くなるの?
それになんできーちゃんは泣きそうになってるの?

さつきがそう思った時だった。
赤司が青峰の肩を叩き、青峰が立つとベッドサイドの椅子に青峰に変わって赤司が座った。

「さつき。
ただの貧血だそうだ。
気がついたら帰っていいと病院からは言われている。
そして、きちんと産婦人科で診察をしてもらうように、医者からはそう言われている。」

「は?
産婦人科?
なんで?」
さつきは赤司の言ってる意味が分からなくてぽかんとしてしまった。

「桃井。
お前、妊娠してるそうなのだよ。」
「え?
誰が?」
緑間の言葉の意味が分からなくて、さつきは聞き返していた。

「お前だよ!
お前の腹ん中にガキが居るんだってよ!!
相手誰だ?!
誰の子供なんだよ?!」
青峰が怒鳴る。

それでようやく、さつきは自分がとんでもない状況にあるらしいことが分かった。

でも、さすがに高校生を妊娠させるわけにいかないって、彼は…原澤監督は言って、避妊はきちんとしてた。
してたのに…、どうして?

どうしよう、どうしたらいいの?
さつきの目から涙がこぼれて止まらなかった。

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