黒子のバスケ

一人じゃない
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「降旗くん、早く日本一になって好きな子とうまくいくといいよね。
誠凛でならそれも夢じゃないよ。
二年の先輩たちの他に、今年はテツくんとかがみんもいるし。
それに降旗くんたちも成長すれば、もっともっと可能性は広がるよ。」

桐皇に向って歩きながらふいにさつきが言った。
あ、屋上でのことを言ってるのか、そう思った降旗はくっと笑う。

「桃井さんの宣誓もかっこよかったよ。
『キセキの世代全員を倒せるような部にしてみせる!』
っていうの。」

「ふふふ。
かがみんの
『キセキの世代を倒して日本一になる』
に比べたらかっこよくなんかないよ。」

「いや、あんたかっこいいだろ。
女がこんなこと言うなんてすげぇと思ったぜ。」
火神がさつきに笑いかけた時だった。


「さつきじゃねぇか。」
低い声が後ろからして、三人は振り返った。

そこに立ってた色黒の青い髪の男にさつきはにっこりと笑いかけた。

「青峰くん。
久しぶり。」
「あ?!
昨日、家の前で会ったばっかじゃねぇか。
っつかそのセーラー服、いつ見てもお前には似あわねぇな。
巨乳セーラーとか、下手なAVかっつーの。」
青峰は不機嫌そうに顔を顰めている。

「そう?
桐皇の制服よりは私に似合ってると思うよ。」
さつきの笑顔は全然崩れない。

「そうかよ。」
舌打ちのあと、青峰は吐き捨てた。

「それより練習は?
出ないつもりなの?」
さつきは青峰に聞く。
青峰は制服姿だったからだ。

「あ?!
それでいいっつーから入ったんだぜ。
だからスカウティングなら無駄だ。
オレ、練習でねーし。
じゃーなー!」
手を振る青峰にさつきが言う。

「余裕でいられるのも今のうちだけだよ、青峰くん。
今年の誠凛は光と影を手に入れて、去年よりもっと強いから。
そんなに簡単に勝てると思わないで。
私も青峰くんに勝つために自分のすべてを出し切るから。」

普段の可愛いらしいさつきからは想像もできないような、強いまなざしで青峰を見つめるさつき。
青峰は振り返ってさつきを見た後、少し笑った。

「やれるもんならやってみな。」

「おう、やってやるよ。
首洗って待ってろよ、青峰大輝。」
さつきの肩に手をかけて、火神は青峰を睨みつける。

青峰はさつきの肩に置かれた火神の手を睨みつけたあと、何も言わずに歩き始めた。

その後姿をさつきは万感の想いを込めて見つめ続けていた。

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