黒子のバスケ

一人じゃない
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「10分休憩!!」
リコがホイッスルを吹くと、全員がその場に座り込んだ。
黒子にいたっては床とお友達になっている。

「お疲れ様ですー!
スポドリどうぞー!」

そんな誠凛バスケ部のメンバーに、さつきはスポーツドリンクとタオルを配っていく。
さつきの長い髪からシャンプーなのか、甘い花みたいな香りがしてそれがメンバーの鼻先をくすぐり、さつきからスポーツドリンクとタオルをもらった人から頬に赤みがさしていく。

さつきはそれに気がつかず、最後に床とお友達になってる黒子の所に行って、黒子に声をかける。

「テツくん?
テツくん、大丈夫?
スポーツドリンク飲める?」
さつきの声に黒子はよろよろと起き上がった。

「大丈夫?
はい、どうぞ。」
さつきは黒子の肩に手を添えて起きるのを手伝うとタオルを頭からかぶせてあげて、汗をそっと拭く。
それからドリンクを手渡した。

「桃井さんありがとうございます。」
「どう致しまして。」
さつきが笑った時、
「さつきー、ちょっと来て!」
リコの声が体育館に響いて、さつきは
「は〜い!」
と返事をすると
「テツくん、水分補給はしっかりね!」
と笑ってからさつきはリコの元に走っていった。

自分の所に来たさつきにリコはノートを見せている。
さつきはそれを覗き込んで何かをリコに言う。
リコがさつきに何か言って、さつきが笑いながらノートを指差す。
リコもそれを見て楽しそうに笑った。

「さつきちゃんが入部してくれて、本当によかったな。」
その様子を見ていた木吉は本当に嬉しそうにしている。

「まぁ確かに、桃井ちゃんが入って、カントクもスカウティングとかは大分ラクになったと思うけど。
それにやっぱり可愛いマネージャーがいるっていいよなー。」
小金井の言葉に木吉が笑う。

「リコってずっと男の中で女一人で頑張ってきたからなー。
同性で、ましてあれだけ優秀なブレーンになる子が入ったから、今まで以上に楽しそうに笑うようになった。」

「まぁ確かに。」
伊月が頷く。

「それに可愛い子が二人で話してるとこみると和むもんなー。」
小金井も頷いている。


日向はさつきが入部届けを持って来た時の事を思い出す。
「バスケ部のマネージャー志望です。
出身中は帝光中、帝光中でもバスケ部のマネージャーをやってました。
一軍のマネージャーでした。」

帝光は一軍だとマネージャーも優秀だと聞いたことがあるリコと日向は、
(もしかして彼女がそのマネージャー?!)
と思ったのだ。

そしてその予感はあたり
「口で説明するより、見てもらったほうがいいかなと思ってこれ持ってきました。
去年一年の誠凛高校のバスケ部のレギュラーの方のデータと、これからのデータです。」
さつきは資料をリコに差し出したのだ。
それを見たリコはにっこりと笑った。
「大歓迎よ。」


さつきは同じ帝光中の黒子と一緒に他のキセキの世代を倒すために誠凛に入ったらしかった。
けれどリコの人柄のよさに、今はリコを慕っているという感じだ。
リコのほうもなついてくるさつきを妹の様に可愛がっている。

二人が仲良く練習メニューを組んだり、打ち合わせをしてるところをみているのも、誠凛バスケ部のメンバーにとっては癒しだ。
可愛い女の子は一人でも癒しだけど、二人いると二倍じゃなく二乗になって回りを癒す。


「それじゃ、私、桐皇に行って来ます。」

しばらくそうして二人を見て和んでいたら、さつきがリコに言ったので、全員がびっくりする。

黒子から聞いている。
さつきはキセキの世代の一人、青峰大輝の幼馴染だと。
そして青峰大輝が進学したのが桐皇学園だ。

黒子はさつきは青峰と同じ学校にいくのだと思ってたけど
「ううん、テツくんと同じ誠凛に行きたいの。
私は、私に出来るバスケで、みんなに目を覚まして欲しいの。」
と誠凛への進学を決めたと。

「一人でなんかあったら困るから降旗くん、一緒に行って上げて。
あとバカガミ、青峰君はあんたと似てるからあんたも一緒に行って見て来なさい。」
体育館の隅にあった自分の通学かばんを肩にかけようとしたさつきを制してリコが言う。

「火神行くなら降旗行かなくてもいいんじゃねぇの?」
日向がリコに聞くが、
「もしバカガミが暴走した時、さつきだけじゃ止めらんないでしょ!」
とのリコの言葉に全員が納得する。

「はぁっ?!
なんでオレが暴走する前提なんだよ!…です。」
火神は不満そうだが、
「かがみんが暴走しなくても青峰君の方が暴走するかも知れないし。
そうなったら私だけじゃ止めるの、確かに無理です。」
さつきが言い
「そうですね、青峰君が練習に出ていれば、の話ですが。」
黒子が同調し、結局桐皇へのスカウティングを兼ねた練習試合の申し込みはさつきの他に火神と降旗もいくことになった。

「うちのパパから桐皇の原澤監督には話通ってると思うけど、なにかあったら連絡するのよ?
火神君、降旗君、しっかりさつきを守ってよ!」
「大丈夫ですよぉ!
それより、リコさんのためにしっかりスカウティングしてきます!」
「頼んだわよ!」
リコに送り出されて、誠凛の三人組は体育館を出た。

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