黒子のバスケ

帰る場所
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翌日は黄瀬がモデルの仕事が入っていて、部活にくるのに遅れてくるということで、森山は黄瀬が部活に来るのを心待ちにしていた。
そのせいで小さなミスが増え、笠松には文句を言われたが、初めて会った森山に傘をおしつけて、自分は雨の中を走って帰っていったさつきのことが気になって仕方なかった。

別名・残念な森山由孝、自分から女の子に惚れる事は多々あれど、その想いが実ることはなく…女の子の方から来てくれることもない。
そんなに森山に、さつきは自らを犠牲にして傘を貸してくれたのだ。


しかし黄瀬が部活に来たのは練習終了の10分前だった…。
笠松にしばかれた黄瀬をこの時ばかりは森山は助けてやった。
さつきのことを聞くためだ。

傘は母親に干してもらって、今日、学校に持ってきている。
家の場所を聞いて直接届けよう、森山はそう思っていたのだ。

だけど、笠松から助けてやったというのに、黄瀬は森山がさつきのことを聞こうとした途端に鳴った携帯をとりだし、
「ちょっと待ってくださいっス!」
と森山に断って電話に出たのだ。

助けてやらなきゃよかった…!
森山が心から思った時、
「え?
なんで桃っちそんな事になったんスか?」
と黄瀬が電話の向こうの誰かに聞き返しているのが聞こえ、森山は耳をすませた。

「ユニフォームの注文に行って、傘どこかに忘れたから走って帰ってきたって…なんですぐに家に帰るように言わなかったんっスか?」
「まぁ桃っちならそういうでしょうけど…。」
「それじゃ仕方ないっスね。
黒子っちと緑間っちには連絡しとくっス。
桃っちにお大事にって言って下さいっス。」

黄瀬は電話を切るとすぐに今度は自分から電話をかけ始めた。
「黒子っちっスか?
黄瀬っス!
今日なんスけど、桃っちが風邪ひいたから青峰っちと桃っちはキャンセルだそうっス!
え、なんか昨日、ユニホームの注文に行ったらしいんっスけど、傘持っていったはずなのに、学校に帰ってきたらびしょぬれだったそうっス!
傘、どっかに忘れてきたとかで、主将が風邪ひくと困るから家に帰るように言ったらしいんっスけど、大丈夫ってジャージに着替えて練習終わるまできちんと出たって。
それで風邪ひいたそうっス!
どうするっスか?
延期にするっスか?
オレらだけでも…分かったっス、それじゃ桃っちのお見舞いにいくということで。
桃っちの家と青峰っちのご両親、一緒に旅行に行ってるらしくて青峰っちが桃っちの家に桃っちの看病に泊まりに行くらしいっす。
緑間っちには連絡よろしくっス!」

黄瀬が携帯を切った瞬間に、森山は黄瀬の肩をがしっと掴んでいた。

「あの子の家に行くんだな?!
オレも連れて行け!」

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