黒子のバスケ

アイスクリーム・シンドローム
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「別れたんですよ、僕とさつきさんは。」

黒子からそう聞いたのは自分達が開花する前の関係に戻ってから赤司の召集で行われるキセキの定例会でのことだった。

みんなが集まるはずだったのに、その日、青峰とさつきは来なかった。
「青峰と桃井は今日はどうしたのだよ?
黒子は何も聞いていないのか?
お前、桃井と付き合っているのだろう?」
そう聞いた緑間に黒子は常と変わらない淡々とした口調で言った。

「は?」
「え?」
「そうなのー?」

赤司以外の三人は驚いていたが、赤司はまったく驚いていなかった。
何か知っているのだろうか、そんなことをぼんやりと考えている黄瀬。

「あんなに黒ちんとさっちん、仲良かったのにねー。」
紫原の疑問に
「そうですね、仲はよかったです。
今も僕はさつきさんを嫌いになったわけじゃないですし。
だけど、大学も青峰君と同じところに行くと言われたら、僕はどうすればいいんですか?
さつきさんの恋人は僕なのに、何の躊躇も戸惑いもなく、『テツくんと同じ大学に行きたいのは本当だけど、大ちゃんを放っておけないから。』って言われたら、僕はどうしたらいいんですか?
青峰君に『オレはさつきを好きなわけじゃねぇけど、あいつが隣にいねぇってのは考えらんねぇ、わりぃけど、あいつはオレの家族みてぇなもんだから。』って言われたら僕はどうすればいいんですか?
青峰君もさつきさんもお互いの存在を家族だと言うけれど、あの二人、本当の家族じゃないんですよ。
血が繋がってるわけじゃないただの他人なんですよ。
なのに家族だと言われてそうですかなんて言えますか?」
無表情に淡々と、だけどいつにないほど饒舌に黒子は言葉を紡ぐ。

「さつきと付き合う男性には大輝の、大輝と付き合う女性にはさつきの存在がどうしたって付いてくる。
本人達には本当に家族という意識しかない分、質が悪いが、あの二人の間には他の人間の介入を許さない、ゆるぎない絆がある。
テツヤならそれでも大丈夫なんじゃないかと思っていたが…テツヤでもダメだったか。」

それまで黙っていた赤司の言葉に黒子の顔がわずかに歪むのを黄瀬は黒子っちでもこんな顔をするんっスねなんて思いながら見ていた。

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