黒子のバスケ

いつかきっと…
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桜井は制服に着替えてさつきと一緒に買い物に出た。

いつもは青峰が一緒に行っていたのを桜井は羨ましいなと思いつつ、もし桃井さんになにかあった時にボクじゃどうにもできないから仕方ないと思っていた。

桐皇のバスケ部がユニフォームを頼んだり、テーピングなどを購入しているスポーツ用品店は、桐皇の最寄り駅の駅前を通り越して裏通りを入ったところにある。
そして桐皇の最寄り駅は割と大きな駅なので、駅前にはナンパする人や、怪しげなスカウトが立っていたりするのだ。
桃井さつきはそういう人の目を引く容姿をしている。
だから今吉はさつきを一人で買い物に行かせたりしない。

青峰も普段はさつきに暴言を吐きつつも、絶対についていく。
青峰がいけない時は、若松や今吉自身がついていっていた。

自分にさつきの付き添いが回ってくるなんて思ってなかったから、桜井は絶対にさつきを守ろうと決めていた。

「ごめんね、本当に。
シューターにとって、シュート練習は欠かせないのにね。」
さつきが申し訳なさそうにしている。
「すみません!
でも桃井さんの方が大事ですから!」
桜井の言葉にさつきの顔がさっと赤くなって、桜井も自分の言葉に気がついて赤くなる。
「いや、あの…」
「桜井くんって本当に優しいよね。」
さつきは赤くなりながらそう呟いた。
「すみませんっ!」
「謝らないでいいよ、謝るところじゃないし!
褒めてるんだから、ありがとうって言われた方が嬉しいな。」
さつきは頭を下げた桜井に微笑みかける。
「桃井さんっ…!」
桜井にだけ向けられたさつきの顔はまるで聖母みたいに桜井に見えた。
ああ、やっぱりこの人が好きだ。

桜井がそう思った時だった。

「ねぇ彼女、オレらと一緒に遊びに行かない?」
いきなり三人組の男に声をかけられた。
桜井もさつきもその男は自分達に声をかけたのではないと思って、通り過ぎようとする。

が、桜井の隣を歩いていたはずのさつきが視界から消えて、桜井は慌てて後ろを振り向く。
自分達に声をかけてきたんじゃないと思っていた男達がさつきの腕を掴んでいた。

「やめて下さい、彼が一緒なんです。」
さつきは柄の悪そうな男達に腕を掴まれても毅然とした態度で、拒否を示す。

「やめて下さい!
彼女はボクの連れなんです!」
桜井は慌ててさつきと男たちの所にいき、男の腕を振り払うとさつきを後ろに庇った。

「彼女、こんななよっちい男やめて、オレらと遊ぼうよ!」
「そうそう、こんなのよりオレらの方がいいと思うよ。」
「っつか、てめ、引っ込んでろよ!」
だけど男達は怯むことなく、男の一人が桜井を突き飛ばす。
桜井はまさか突き飛ばされると思わなくてよろけた。
よろけたけど、何とかその場に踏みとどまる。
「桜井くん!
大丈夫?!」
慌ててさつきが桜井に声をかける。
「大丈夫です…」
桜井の答えを聞いてホッとしたさつきは三人の男を睨みつけた。

「なんてことをするの!
乱暴なことをするのはやめて!」
「彼女、怒った顔も可愛いね!」
さつきは本気で怒っているのに、男たちはニヤニヤしている。

「いい加減にして!
行こ、桜井くん!」
さつきは男達を睨んだまま桜井に言った。

「ええ、早く行きましょう。」
桜井はさつきの腕を掴もうとしたが、その手は叩き落され、代わりに男の一人がさつきの腕を掴んでいた。

「離して下さい!」
桜井は男に訴えるが
「すっこんでろ!」
男に肩を強く押されて、よろけた。

「桜井くん!」
「ほら、行こうよ〜。」
もう一人の男にもう片方の手を掴まれ、最後の男に背中を押され、さつきが連れて行かれそうになる。

「やめて下さい!」
桜井は男の一人の腕を掴むが、簡単に振り払われる。

どうにかしないと!
桜井は周りを見回すが、誰もが自分達から目をそらしている。
かかわりあいになりたくないのだろう。

「やめて下さい!
桃井さんに触らないで下さい!」
桜井は自力で何とかしようと男に追いすがるけれど、また腕を振り払われる。

「桜井くん!
ちょっと、桜井くんに乱暴するのやめて!!」
さつきは男を睨むが、男は
「君が一緒に来てくれれば、乱暴なんかしないって!」
と全然堪えてない。

その時、三人の男に連れて行かれそうになってるさつきの前に誰かが立った。

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