黒子のバスケ

いつかきっと…
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今吉とさつきがなにやら話し込んでいるのを横目で見ながら、桜井は主将も桃井さんも大変だなと思っていた。

今日も青峰はさぼりだ。
そのことについて話しているのだろう、そう思っていた桜井は
「桜井〜、ちょっといいか〜?」
といきなり今吉に名前を呼ばれ
「すみません!」
と謝っていた。

今吉の隣にいたさつきがそんな桜井に微笑みかける。
「ううん、すみませんは私の方。
練習中なのに中断させちゃってごめんね。」
さつきの言葉に桜井は
「大丈夫です!
ボクこそすみません!」
とまた謝っていた。

「そんなんやから誠凛の主将にあやまりキノコ言われるんや。
あんな、これから桃井に買い物に行ってもらうんや。
いつもなら青峰が一緒に行くんやけど、今日、青峰は単位習得のための補習で、部活に出れないんや。
せやから一緒に行かれへんのやけど、ナンパスポットを通っていかなあかん場所に店があるから、桃井一人で行かせるわけにあかん。
ホンマは桜井より若松とかの方が虫よけになるんやけど、若松も今日は補習やし、しゃーないから桜井、桃井と一緒に買い物行ってきてや。」

「はい。
分かりました。」
実はこっそりさつきに憧れている桜井にとって、これは願ってもいないチャンスだった。

見た目は女の子女の子してる桃井さつき。
桐皇祭ではおそらくミス・桐皇になるだろうと言われているし、スタイルも見た目も文句なし、性格もよく、頭もよく、普通なら女子の嫉妬の的になりそうなものだが、本人の性格がよすぎて、もう嫉妬の対象にすらならない。
そんな桃井さつき。

なのにあの強面の青峰大輝を叱り飛ばし、時になだめ、飴と鞭を使い分けてコントロールする、猛獣使いのような一面もある。

女の子らしい、ふわふわした見た目に、凛とした強さも持つさつきに、気弱な桜井が惹かれるのは当然といえば当然かもしれなかった。
そのさつきと二人きりで買い物にいけるのだ、今日はついている、桜井は心から思った。

「ごめんね、練習中なのに。
よろしく、桜井くん。」
微笑むさつきに
「すいません!
こっちこそよろしくお願いします!」
桜井はいつになく大きな声を出して、今吉はめがねの奥でその細い目を最大限に見開いた。

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