銀魂

□恋人は人気タレント6
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今日は、坂田が婚約者である猿飛に別れ話をした事で、猿飛が学校に乗り込んでくるシーンの撮影だった。

好きな人ができたから別れて欲しい、結婚はできない、そう言った坂田に猿飛が納得できないと泣き、それでもごめん、結婚できないしか言わない坂田に猿飛は、坂田の好きになった相手は学校にいるのだろうと、学校に乗り込み、職員室の教師達を見て愕然とする。
九兵衛の学校の教師の女性は、坂田と年の近い人が一人もいなかった。

それで、もしや、相手は学生なんじゃないかと思うのだ。
『あなた、もしかして生徒を好きになったんじゃないでしょうね!!』
と叫ぶ猿飛。

そこで坂田に抑えられ、校長室に連れて行かれるのだが、
『えー、桜井先生、生徒が好きなのー?』
『っつかさ、学校に婚約者が乗り込んでくるなんてやばいよねー!』
と生徒達はざわざわしている。

九兵衛はその様子を心配そうに見ていたら、山崎に腕を掴まれ、
『話がある。』
と言われ、放課後、家に行く約束をするというシーンだった。

この後は、山崎が九兵衛に
『あんな騒動起こした桜井はきっと学校辞める事になると思う。
だけど、生徒の興味は誰が桜井の好きな人かっていう事に移っていって、それは桜井がやめても落ち着くことはないと思う。
だから、そういう噂から奏を守るためにも、気持ちはなくていいから、なにもしないから俺と付き合ってるって事にしておこう?
そうしたら、奏が桜井の好きな人だって他の奴らから噂されたりすることないと思う。』

と自宅で言う。

けれど、九兵衛はそれを断り
『ただ、人を好きになっただけ。
その人が先生であること、婚約者がいること、それは分かってるから自分の気持ちを先生に伝えたことはないし、先生から言われたこともない。
だから、片思いのまま。
片思いのままなんだから、人に後ろ指さされるようなことでもない。
胸を張って、この人が好きですと言える人ではないけれど、誰かと付き合ってるふりしてまで自分の気持ちを隠すようなことはしたくない。』
と答える。

山崎は、その言葉を聞いて、九兵衛の気持ちの大きさを改めて知って、九兵衛を諦めるしかないと悟る。

一方の坂田の方は、学校を辞める事になる。
こんな騒ぎを起こしたのだから、当然だ。

辞める日のホームルームで、坂田は教室で生徒達に騒ぎが起こったことを詫びる。
『自分のせいで、もしかしたら、恋愛とか結婚とかにマイナスな感情を持つことになった人もいるかもしれない。
それでも、自分は思う。
やっぱり、誰かを好きになることは大事な事だと。
誰かを好きになって、そのために努力をしたり、頑張れたりすることは素晴しい事だと思う。
人間だから、生きていて他に出会いがあれば、今まで好きだった人への気持ちが変わることもあるだろう。
好きな人に好きになってもらえないこともあるだろう。
死にたいと思うほど、辛い恋をすることもあるかもしれない。
けど、その辛い気持ちも、悲しい気持ちも、努力しても好きになってもらえなかったことも、全ては自分の未来に役に立つはずだから、マイナスな感情を持つことをなく、自分の気持ちを大事にして欲しい。
自分の気持ちを大事にして相手を傷つけることは良くないけれど、相手のことを考えて自分を傷つけることは、もっと良くないと思うから。
今まで、君たちと教師として過ごせて、自分はいろいろな事を経験できて、いろいろなことを学べました。
ありがとうございました。』
生徒達は戸惑った顔をしつつも、大きな拍手を坂田に送る。
そうして、坂田は学校を辞める。

九兵衛は坂田に自分の気持ちを告げることをせず、自分の連絡先を教えることもなく、一生徒として坂田を見送る。

坂田の方も、九兵衛に自分の気持ちを伝えることもせず、連絡先を教えることもなく、二人は会話を交わすこともなかった。

そうして数ヶ月が経ち、迎えた卒業式の日、九兵衛に話がしたいと言った山崎に
『最後は傷つけてごめんなさい。
でも、悟郎くんと過ごした日々は、今思い出すとキラキラしてて、たのしかったな、幸せだったなって思う。
だから、これからの悟郎くんの幸せを願ってるよ。
今まで、本当にありがとう。』
と九兵衛は伝える。

『桜井のことは?』

『どこかで元気に生きててくれるなら、それでいいよ。
先生自身が自分を傷つけることなく、元気で生きててくれるなら。
だって、先生を好きで好きで苦しい気持ちもある今でさえ、それでも先生に笑ってて欲しい、元気でいて欲しい、恋をして次はその人と幸せになって欲しい、そう願ってるから。
この先、先生を思い出にして、この苦しい気持ちが消えた時、残るのは優しい想いだけだよ。
そんな恋をすることができて良かった。
恋は相手がいないと始められないけど、一人でも続ける事ができるんだって知ることができたから。
ただ、元気でいてくれたらそれでいいんだ。
悟郎くんも元気でいてね!』

九兵衛の笑顔に山崎も
『俺も、奏に恋をして、幸せだったよ。
奏に俺以外のやつを好きになったから別れたいと言われた時は、頭にきたし、相手のやつに嫉妬したし、相手のやつを憎く思ったし、俺以外のやつを好きになった奏を憎いと思ったりもした。
できたら知りたくなかった、自分の中にある汚い感情、いやというほど知ることになったよ。
それでも、やっぱり、奏を好きになってよかった。
俺も、今は奏と過ごした日々は苦しい想いとか悔しさとか残ってなくて、楽しかった、幸せだった、そういうキラキラしたものしか残ってないんだ。
だから、奏にも幸せになって欲しい。』
と告げる。

ありがとうと笑って別れて、自宅に帰る途中の九兵衛の前に坂田が現れる。

「卒業おめでとう。
どうしても、それだけ伝えたかった。」
そういう坂田は九兵衛に一枚の紙を渡す。

「俺の、連絡先。
桃井を好きになって、でも生徒だから諦めようと思った。
教師として、生徒を恋愛対象としてみないなんて、当然のことだからな。
当然のことだったのに、あいつと結婚できないと思ったのは、桃井を好きな気持ちが止められなかったからだ。
桃井に気持ちを伝える気はなかったけど、桃井に対して、不実な事はできないと思った。
その結果、あんな騒ぎになってしまったが、何度も話をして、きちんと自分の気持ちを理解してもらって、時間はかかったがきちんと円満に別れる事ができた。
仕事も、今は教師じゃない、普通の会社員をしている。
教師になりたい気持ちもないわけじゃなかったが、それより、もっとなりたいものがあることに気がついたから。
好きだ、桃井。
どこかで元気に生きててくれたらいい、そう思おうとしたけど、無理だ。
俺は桃井の隣で、生きていきたい。
桃井の恋人になりたい。
もし、桃井が俺と同じ気持ちでいてくれたら、4月に入ったら、その連絡先に連絡くれないか?」

それに対して、九兵衛が泣きながら、
『もう先生じゃないから、今返事するんでもいいでしょ?
私も先生の隣で生きていきたい。
愛してますか、先生?』
と言う。

『ああ、俺は桃井奏を愛してる。』

と、坂田が答え、二人の間を桜の花びらがひらひら舞って、坂田と九兵衛が互いに向けて伸ばした手の、指先が触れてENDだ。

つまり、もう最終回も近い。
今のスケジュールだと、放映日まで撮影しないとダメかもしれないらしく、遅くまで撮影する日が続いていて、主要キャストはみんな寝不足だろう。
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