銀魂

□私立・万事屋学院高校の体育祭・全体練習初日
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球技大会の後には、体育祭がある。
その練習が始まったのは、5月の半ばからだった。

万事屋学院は男子校なので、創作ダンスとか、そんな競技はない。
徒競走、借り物競走、騎馬戦、スウェーデンリレー、背中渡し、棒倒し、台風の目、三年の組体操、部活対抗リレー、クラス対抗リレー、教職員競技などの競技が並んでいる。
特に盛り上がるのが三年の組体操と、三年のクラス対抗チレーだ。

体育祭はクラスごとの縦割りでチームが決まり優勝を競うが、各クラスの獲得得点も計算され、球技大会と同じく、体育祭でも各学年の優勝したクラスは学食のただ券がもらえる。
しかも、体育祭の学食のただ券は、一学期の間ずっと使えるというものなので、球技大会には力を入れない生徒や教師も、体育祭には力を入れる。
三年一組の担任である服部全蔵も、生徒達も体育祭の優勝を目指している。

ちなみに一組は赤組になる。
二組は白組、三組は黄色、四組はオレンジ、五組は青、六組は緑だ。


「はい、それじゃはちまき配るからなくさないようにね。」
体育祭の練習が始まる日の朝のホームルーム。

九ちゃんがやった方が生徒達がやる気になんじゃん、との全蔵の判断で、九兵衛がホームルームを行っている。

膝丈のベージュの七部袖のシャツワンピースを黒い太めのベルトで締めた九兵衛ははちまきが全員に行き渡ったのを見ると、
「今日の体育から体育祭の練習が始まるよ。
競技は僕がいた頃から変わってないね、騎馬戦とか棒倒しは危険だから怪我しないようにね。」
と声をかけた。

このベージュのワンピースを着た、ウエストの細い、華奢な教師が数年前はここの生徒であったことを思いだし、生徒達はどんな競技にでていたのだろうと思う。

「ちなみの僕は小柄だったから、背中渡しとか、組体操、騎馬戦の一番上になるのに重宝されていたな。
スウェーデンリレーと、クラス対抗リレーでは一番走者とアンカーを務めた。
生徒として出ていた体育祭に今度は教師として参加するなんて、思っても見なかったが、楽しみにしてる。
だからみんなも怪我せず、楽しくやれたらいいな。」
生徒達の心の声が聞こえたのか、九兵衛がそう言って笑った。

「それじゃ、ホームルーム終わり。
一時間目は坂本先生の数学だからさっさと用意しておくように。」
九兵衛はそう言って教室を出て行く。

「あんなに細い人が騎馬戦の上になってはちまき取ったとか、信じられないですよねー。」
九兵衛が出て行った後、新八がそう言って隣の席の桂に同意を求める。

「ああ、そうだな。
柳生先生がそんなことをしていたなんて信じられないな。」
桂もそれに同意する。

「とっつあんに頼めば、柳生先生が学生だった頃の体育祭のDVD見せてくれるんじゃないか?」
近藤の言葉に
「じゃ、お前頼んでみろよ。」
と高杉が言った時、辰馬が入ってきた。

「おんしら、教科書がでてないぜよ。」
と言う辰馬に桂が
「坂本先生は、柳生先生が学生だった時はすでに教師してたんですか?」
と聞く。

「わしがここに赴任したんは九ちゃん卒業した後じゃったけど、九ちゃんが三年の時の体育祭のDVD見たことあるぜよ。
九ちゃん、足が速くてスウェーデンリレーもクラス対抗リレーもダントツだったぜよ。
騎馬戦も強くて、はちまき取りまくってたなぁ。
背中渡りも身軽でひょいひょい走るから、早すぎて両脇に控えてたフォローの為の生徒が置いてけぼりくらってたぜよ。」

辰馬の話に全員のやる気に火が付く。
絶対、絶対に頑張って九兵衛にいいとこ見せてやる!
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