銀魂

□花に酔う
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それは本当に軽い気持ちからだった。

土方は恋人の九兵衛とここ最近、会っていなかった。
九兵衛の道場が忙しかったからだ。

その忙しさがようやく落ち着き、九兵衛が
「忙しくしてて会えずに悪かった。
君に会いたい。」
という可愛いメールを送ってきたのは真選組の花見の日だった。

真選組の仲間たちは土方と九兵衛の仲を知っているし、九兵衛自身がたまに真選組の隊士に稽古をつけてくれることもあって、大半の隊士が九兵衛の強さに憧れている。
その憧れは女性に対するものではなく、自分より強い男をいつか越えてやろうという慕い方だったので、土方は安心していた。
九兵衛を女と見てる隊士は真選組にいないのだ。
だから花見に誘っても大丈夫だろう。
そう思ったのだ。

「今日は真選組の花見がある。
それに来るか?
花見が終わったらそのまま屯所の俺の部屋に来ればいいだろ。」
とメールを返したら
「それならそうさせてもらおうかな。」
と返事が来た。

そうして九兵衛は男物の着物に腰に刀を差して花見に来た。

女物の着物では帯刀しにくいからという理由で、九兵衛は土方と付き合いだしてからも着物は男物を着ていた。

だからなおの事安心していた。

それが間違いだった、土方はそう思う。
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