銀魂

□商社・真選組4
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総悟と外回りをしていた土方は腕時計をみて
「そろそろ昼飯にでもするか。」
と声を掛けた。

暑いだのなんだの文句を言ってはいてもきっちりとネクタイを締めてスーツの上着も着ていた、普段の腹黒さが信じられないほどの爽やかさを取り繕って外回りをこなしていた総悟はその言葉を聞いたとたん、
「そうしやしょう!」
と返事をしてスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めた。

土方はさすがに上着は脱ぐことはなかったが、総悟のその姿に自身もネクタイを緩めた。

今日は土方は総悟を連れて朝から得意先を回っている。
午後も外回りの続きをしなければならないので帰社はせず、昼は外で食べることになる。

「何を食う?」
土方の問いかけに総悟は堂々と言った。
「別行動にしやしょう。
ここの近くに九ちゃんの大学があるんで、俺は九ちゃんと昼休み過ごすことにしやす。」

抑えても抑えきれない喜びが見える総悟にかちんときた土方は
「別行動にはしねぇ。
昼休みとはいえ、仕事中だぞ?!
遊びに来てんじゃねぇんだし、お前が嫁の大学に行くというのなら俺もお前に付いていく。」
と答えた。

「はぁ?!
なんであんたが付いてくるんでィ?!」
不満そうな総悟に
「俺がお前の上司だからだよ。」
と答えると、総悟は悔しそうに唇を噛んだが、それ以上は何も言わなかった。

「で?
どうするんだ?
嫁の大学に行くのか?
それとも行かないで俺とどこかで飯にするか?」
内心、大学に行くと言ってくれなんて思いながら土方は総悟に聞く。

なんで自分が大学に行くと言って欲しいのかなんて気がつかない振りをしながら。

「行きやすよ。
あんたがくんのはむかつくけど、こんなチャンスは滅多にないし。」
そう言いながら総悟は歩き出す。

土方はその後を付いていきながら九兵衛に会えることを嬉しいと思っていた。
もちろん、そんなことは顔には出さない。
というより、嬉しいと思ってる自分の気持ちには気づかない振りをしている。

自分より嬉しそうにしてる総悟の後姿を見ていると、そんな気持ちを持ってはいけないと思うからだ。
だから自分の気持ちをごまかすために土方は総悟に聞いていた。

「この近くの大学っていうと恒道館大学か?」
「そうでさァ。」
「へぇ、頭いいんだな、お前の嫁は。」
恒道館大学はそんなに大きな大学ではないが、少数精鋭というか、学部によって多少の差はあるものの偏差値は高い。

「そりゃ、九ちゃんは柳生家の一人娘ですからねィ。
いずれ柳生家の事業になんらかの形で関わっていくことにはなるでしょうから、それなりの大学を卒業しないとまずいんでさァ。
俺との結婚を許してもらうために九ちゃんは家の言うとおりの大学を選んだんでィ。
もともと、頭はよかったですけどねィ。」

総悟は土方を見ようともせずに、足早に歩いている。
その足取りがまるでスキップをしてるように見えた。
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