銀魂
□夢であったら…
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総悟は真選組の屯所の食堂で三日ぶりの食事にありついていた。
地愚蔵と名乗る男に監禁されたと見せかけて実は土方への嫌がらせをするために自身も三日間のまず食わずだった。
とりあえず廃屋を出てすぐにコンビニでお茶とおにぎりを買って、少し公園で休んでから屯所に帰ってきた。
そして風呂に入ってさっぱりしたところで屯所の食堂で本格的に食事を取っている。
公園に入ったときに『土方の恋人』に電話をしたので、今頃、土方は彼女に保護されていることだろう。
あれくらいで土方がくたばるとは思えない、それが残念だ。
そう思ったとき、山崎が慌てて食堂に飛び込んできた。
「沖田隊長!!
九兵衛さんがすっごい剣幕で隊長を訪ねて来てます!
っつーか、あんた三日間もどこに行ってたんですか!!
副長も三日間もいないと思ったら九兵衛さんが言うには入院したそうですよ!!」
「そうですかィ。
そりゃぁ大変だねィ。」
そう言いながら味噌汁を飲んでいたら
「沖田くん!!」
食堂に九兵衛…『土方の恋人』の声が響いた。
その様子に九兵衛が凄まじく怒っているのだろうと分かる。
山崎はそんな九兵衛の様子に圧倒されてしまい、冷や汗をダラダラかいてるが総悟は飄々としていた。
「なんでィ、九ちゃん。
そんな顔してたら美人が台無しですぜィ。」
「バカにするな!!」
九兵衛の怒鳴り声に山崎は半泣きになっている。
「九ちゃん、ここじゃなんだから俺の部屋に行きやしょう。」
総悟は立ち上がる。
「隊長〜。
三日も行方不明でいきなり帰ってきて、局長だって話聞きたいって言ってましたよ〜。」
半泣きの山崎に
「近藤さんには後で部屋に行くんで、それまで待っててくださいって言っとけ。」
と告げると総悟は目が釣りあがったままの九兵衛を促して自室へと歩いていく。
自室に九兵衛を招き入れると、九兵衛は素直に部屋に入ってきた。
土方と付き合い始めてから、柳生家次期当主として公の場に出なければ行けない時以外はきちんと女の格好をするようになった九兵衛は今日も女物のミニ丈の着物を着ている。
ふすまを後ろ手で閉めた総悟がその顔に笑みを浮かべたのを、九兵衛は知らない。