銀魂

□てめぇじゃなきゃダメなんだよ
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新年も明けて一週間がたったある日。
食堂で隊士たちとメシを食っていた俺の元に山崎が来た。

「副長、お客さまです。
柳生の姫ですよ。
なんだかでっかい重箱沢山抱えて付き人も何人か来てます。
差し入れとか言ってましたけど、どこに案内すればいいですか?」

九兵衛…一応、俺の恋人になる…がそう言って差し入れを持ってきたのは一度や二度じゃない。
さすが柳生家というべき量とうまさの差し入れは隊士たちも楽しみしている。

実際に山崎の言葉を聞いた隊士たちは嬉しそうにしているので俺は

「食堂に案内しろ。」

と言って立ち上がった。


年末は俺の仕事がいそがしく、新年は九兵衛の家の行事が立て込んでいて俺たちは中々会えなかった。

だから久しぶりの逢瀬だというのに、俺と二人で会うことより、付き人を従えて真選組に差し入れなんてちょっとむかつく気もしたが、副長である俺の恋人という立場で隊士たちに気をつかっているのも分かるので感謝もしていた。

食堂から玄関に向かう途中の廊下で俺は九兵衛とあって、驚きを押し隠した。
綺麗な晴れ着をきて髪はきっちり一つに結い上げてある。
後れ毛もないくらいきっちりと結ってあって、それが九兵衛の整った顔を引き立てているようだった。

「土方くん。
あけましておめでとうございます。」

すっげぇ綺麗だな。

口には出せねぇがそう思った。

「土方殿、明けましておめでとうございます。
今年こそ、若とは別れて頂きたいものです。」

そんな俺の気分をぶち壊したのは九兵衛の後ろにいた東城だ。
俺は東城を睨みつける。

九兵衛も
「くだらんことを言ってないで早く運べ。」
と言ったので、東城はそれ以上は何も言わなかった。

女としての九兵衛の幸せを願っていたはずが、実際に男と付き合い始めると惜しいような気がするらしい。

東城の俺に対する風当たりは強かったが、九兵衛が東城を叱ってるし、俺も相手にしないことにしてる。

このローション男に付き合ってるとイライラが増すだけだからだ。


「本来ならもう七草粥の時期だが、真選組では御節など食べていないだろう?
だから特別に作ってもらった。
肉料理を中心に作ってもらったし、量も多いから多分大丈夫だと思う。」

九兵衛の言葉に俺は九兵衛の頭に手を載せ、

「ありがとな。」

と言った。

九兵衛の顔が赤くなるのを可愛いと思ったが、
隊士の手前、それだけに留めておいた。
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