銀魂

□変わる、明日
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「九兵衛殿、今日こそは俺とのキャラかぶりについて、きちんと話し合ってもらうぞ!」

出稽古に行く途中、後ろから声を掛けられ九兵衛はうんざりといった顔で振り返った。

振り返った先にいたのは予想通りの人物、桂小太郎。

「かぶっていないから、気にするな。
君は眼帯をつけていないじゃないか。
大丈夫、僕と君のキャラはかぶっていない。
それじゃ、僕は急いでるから失礼するよ。」

会うたびに、堅物キャラがかぶっているから何とかしろと文句を言ってくる桂に九兵衛はうんざりしていた。
九兵衛は全然気にしていないのに桂がいちいち突っかかってくるので、面倒くさいと思っていた。

「いや、キャプテンカツーラになる時は俺も眼帯をつけている。
やはり、キャラがかぶっているじゃないか。」

「そうか。
でも、やはり僕と君は違う。
君は君だ、余り他人のことなど気にしないことだな。」

うんざりしてきた九兵衛はそういうと歩き出す。

「待て、九兵衛殿!」

「桂くん。
僕はこれから柳生家の門下の道場に出稽古に行く途中なんだ。
このかぶき町だけで、柳生流の道場がいくつあると思っているんだ?
時間はいくらあっても足りない。
失礼する。」

九兵衛はそう言って歩き出すが、桂は
「それなら歩きながら話そう。」
と言って九兵衛の隣に並ぶ。


「九兵衛殿は毎日出稽古にいくのか?」

文句を言う前にそう聞かれてしまった。

なんとなく、文句を言いづらくなってしまった九兵衛は
「毎日ではないけど、いずれは僕が柳生流を継ぐのだから、出稽古にもできるだけ行くようにはしている。」
と文句のかわりに質問に答えた。

「そうか、大変だな。」

「大変だと思ったことはない。
これが僕にとっては当たり前の生活だから。」

「そうか、九兵衛殿は真面目だな。
やはり俺とキャラがかぶっている。」
桂の言葉に九兵衛は思わず噴出していた。

「自分で自分を真面目だというのは、君くらいのものだろうな。」

九兵衛の笑顔をみて桂も笑みを浮かべる。


「九兵衛殿には笑顔が似合うと俺は思うぞ。」

九兵衛はその言葉に目を丸くしたが、すぐに再び微笑えんだ。

「そうか、どうもありがとう。」

ありがとうと言ったわりには、笑顔だったのは一瞬ですぐに九兵衛はいつものきりっとした表情に戻る。

その後はまたキャラかぶりについて桂は語り、九兵衛はきりっとした凛々しい表情からだんだんうんざりしたような顔になっていく。

しかし、九兵衛が本気でイライラする前に道場に着いてしまった。

「今日はこの道場で出稽古なんだ。
それじゃ。」

そう言って道場に入ろうとした九兵衛の腕を桂は掴む。

その瞬間、
「僕に触るなァァ!!」
と言って九兵衛は桂を投げ飛ばした。

「あ…すまない。
だが僕は男に触られると投げる癖があると言っているだろう!
いつになったら分かってくれるんだ!!」

九兵衛は呆れたように言って道場の中に入っていった。
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