銀魂

□お化け屋敷と観覧車
2ページ/5ページ

「九ちゃん、アイス食べますかィ?」
「食べようかな。
総悟くんはどうする?」
「もちろん食べまさァ。
姐さん、土方さん、俺たちはアイス買ってきまさァ。」

そう言って売店に向かって歩く二人の間には少しの距離がある。
仲はよさそうだが、確かに恋人同士といった感じではない。


「いいか、マヨラー。
絶対に二人をくっつけるぞ、分かってるな?」
妙は可愛い顔に似合わない言葉遣いと恐ろしい殺気を放っていた。

「別にそんなの周りがどうこうするもんじゃねぇだろ。
周りが何もしなくてもなるようになるだろ。」
と土方は妙に言ったが、立ち上る黒いオーラを感じて、それ以上は何もいえずに黙ってしまった。

本音を言えば、あまり総悟と九兵衛が仲良くしてるところは見たくないのだ。

なぜかは分からないけれど、九兵衛と一緒にいるときの楽しそうな総悟をみてるとそんな表情を総悟にさせてくれる九兵衛に感謝の気持ちが湧き上がってくるのに、同時にそんな姿をみたくないという気持ちも微かにあるのだ。

「九ちゃんが女としての幸せを掴むチャンスなのよ!
見て、九ちゃんをみる周りの男の反応を!」
妙にそういわれて、土方は周りを見回してみる。

確かに、彼女を連れているはずの男までがチラチラと九兵衛を見ていた。

今日の九兵衛が着ているのは普通の着物だ。
白地に桜の描かれた品のいい着物で、赤い帯が体の細さを強調している。
アップにした髪と施した化粧は妙のセレクトらしく、似合っていた。
男装をしている普段も十分に綺麗なのだが、女の格好をしたときの九兵衛は美しいとしかいいようがない。

「ね、九ちゃんはすごい美人なのよ!
なのに自分に自信がないの、もったいないと思わない?!」

妙の迫力に押され、土方は思わず頷く。

「だから、あの二人をくっつけるのよ!
そして九ちゃんに女としての自信を持ってもらうの!
とにかく、お化け屋敷にでも入りましょう!
九ちゃんはね、強い子だけどお化けだけは苦手なのよ!
未だに心霊特集のテレビ見ると一人で眠れなくなって、四天王のメガネの人か大きい人かお滝さんと一緒に寝るんだっていってたわ。」

「えェェェ?!
女と男が一緒に寝るってまずいだろ!!」

土方は思わず大声を上げていたが、

「メガネと大きい人は安全よ!
あのローション男だったらまずいけど。」

自信たっぷりな妙にそういう問題じゃねぇよと突っ込む気力も起こらず、黙り込む。

「とにかく、次はお化け屋敷よ!」

騒ぐ妙に土方はもうどうでもよくなって頷いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ