銀魂

□たった一度の恋・最後の恋
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「ねぇ、土方くん。
なぜ、僕らは恋に落ちたんだろう?」


九兵衛に背を向けてタバコを吸っていた土方はそう聞かれて手を止めた。

「人を好きになんのに理由なんてねぇだろう。」
タバコを消すと土方はベッドの中にもぐりこむ。
そして九兵衛を抱きしめた。
自分の肌に直接触れる九兵衛の肌は滑らかで柔らかい。

「そうだね。
でも、結婚するには理由がいるんだよ。
知っていた?」

九兵衛の言ってることの意味が分からず、土方は顔をしかめた。

「はぁ?
恋愛の延長にあんのが結婚だろ?
好きになったやつと恋愛して、結婚すんだろ?
やっぱり理由なんかねぇじゃねぇか。」

「普通はね。」

それ以上、九兵衛は何もしゃべらなかった。

「なんかあったのか?」
土方はそんな九兵衛の態度を不思議に思い、そう聞くが九兵衛は
「何でもないよ。」
と微笑むと土方に抱きついた。

「好きだよ、土方くん。
愛してるよ。
君に出会えてよかった。
だから、もう一度、抱いてくれないか?」

九兵衛の方から抱いて欲しいなどといわれたのは初めてで、土方は驚く。

「どうしたんだ、お前?
なんか変じゃねぇか?」

「そんなことないよ。
ただ、今まで僕は君に言葉で自分の気持ちを伝えることがなかったなって思って。
きちんと伝えないと気持ちは伝わらないのかなって思っただけなんだ。」

そう言って九兵衛は土方の胸に顔を摺り寄せる。

恋人同士になって、体をつなぐようになってからはじめての九兵衛の言葉と、甘えたしぐさに土方は体が熱くなっていく。

九兵衛を組み敷いて、その唇を深くむさぼって、自分の手の動きに合わせてもらす九兵衛の吐息が土方の欲を煽っていく。

「土方くん愛してる。」

「土方くん大好きだ。」

「君だけを愛してる、土方くん。」

艶を含んだ声でささやかれる言葉がひどく心地いい。

色んな人に呼ばれてきた自分の名前が、九兵衛にささやかれるとここまで心地よく聞こえるのはなぜなんだろう?
そんなことを考えながら土方は九兵衛を抱きしめた。
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