銀魂

□人生最後の愛にする
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土方は待ち合わせ場所の映画館の前で九兵衛をみて驚いていた。

九兵衛と、恋人と呼ばれる関係になってから一ヶ月。
その間、何度かデートをしたが、九兵衛は普段の男装のままだった。

でも土方は別にその事を気にしてなかったし、九兵衛自身も気にしてはいないようだったのに…。

しかも見る予定の映画はエイリアンVSやくざなのに。

九兵衛はミニ丈の珊瑚色の着物を着ていた。
足元は黒のニーハイソックスにニーハイブーツ。
髪は下ろしていたが、毛先は軽く巻いてあって、耳の横には赤い椿の髪飾りをつけていた。
軽くではあるが化粧もしていていつもより艶やかで赤い唇と、いつもよりさらにぱっちりとした目が魅力的を通り越して魅惑的だった。

土方がいつもと違う自分の格好に何も言わないので、九兵衛は
「似合わないか?」
と悲しげに目を伏せてしまった。

「……いやいやいや。
似合う。
別にいつもの格好に不満なんかねぇけど、そういう格好もいいんじゃねぇか。」

土方は、慌ててそう言った。

その言葉に九兵衛は嬉しそうに土方を見上げる。

「本当か?!
この間、君と会った帰りに女性に声を掛けられたんだ。
一緒に食事でも行きませんかと。
どうも僕を男だと思ったらしくて、女だといったらびっくりされた。
それで思ったんだ。
君といる時の僕がきちんと女の格好をしないと君が男色家だと思われてしまうのではないかと。」


九兵衛を逆ナンしたなんて、土方は逆ナンしてきた見も知らぬその女に文句の一つも言ってやりたいと思ったが、そのおかげで九兵衛がこんなに可愛らしい格好をしてくれたのかと思うと、感謝の気持ちも湧き上がってくる。

見知らぬ女に感謝してしまう程、九兵衛は本当に可愛くて綺麗だった。

こんないい女と俺は付き合っていたのかと思っていたら胸の奥で何かが目覚めた気がした。
慌ててそれを抑え込もうとするが、始めてみた可愛い九兵衛に『ヤツ』の萌えが爆発したらしい。
それを抑え込もうとする土方と外に出ようとする『ヤツ』の内なる激しい戦いに気が付かない九兵衛は

「早く映画館にいこう、土方くん。
楽しみだな、エイリアンVSやくざ。」

とにっこりと笑って土方の腕を掴んだ。


その瞬間、土方の意識はブラックアウトした。
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