銀魂

□君と、未来の夢をみる
1ページ/5ページ

一週間前、松平から柳生の婿殿が上様の元に挨拶に行くから護衛をしろと真選組に命が下った。

柳生の婿殿、北大路斎…今は柳生斎であるが、柳生四天王の一人であり、幼い頃から柳生家で剣術を学んでいただけあってそこそこいい家の息子らしいが、柳生家とつりあうような立派な家柄でもないらしい。

一方の九兵衛だが、女だとわかってからは、いろいろな筋から九兵衛への見合いの話が持ち込まれていたことは、九兵衛と恋人と呼ばれる関係になる前から土方は知っていた。


柳生家の次期当主・柳生九兵衛は神速の使い手、柳生家はじまって以来の天才といわれている。

それが女だったのだ。
婿をとるのは家のためにも当たり前のこと。

普通の婿入りなら婿は柳生家を仕切るためにも剣術に強くなければいけないが、九兵衛は男として生きてきたわけで、剣の実力もあるのだから道場は九兵衛に任せておけばいい。

それなのに柳生と言う名家の名は手に入る。

それで本当にあちこちから見合いの申し込みがあったらしい。

だけど、今までしたくてもできなかったことをしてみたいという理由で、九兵衛は見合いを断っていた。

本当は土方と付き合っていたけど、そういうと色々と角がたつから表向きはそういう理由にしていた。

土方としては、数多の見合いを断り、自分と付き合っている九兵衛の気持ちが本当に嬉しかった。

なのに、数多の名家からの見合いを断り続けた九兵衛が、ワケの分からない理由で土方にも別れを告げ、あっさりと門下の決して立派とはいえない家柄の息子と結婚してしまった。

しかし見合いを申し込んでいた家の者たちは諦め切れなかったらしい。

そして、婿さえいなければ、何とかなるんじゃないか…どうしても柳生の家名や後ろ盾を得たいと思っているものが、そう考え始めてることは土方も知っている。

実際、上様の耳にも入っているのだろう。

上様の側近の中にも九兵衛に見合いを申し込んだものが何人もいる。
上様に挨拶にきた柳生の婿殿にもし何かあったら困る。

それゆえに、真選組に柳生家の護衛の命が下された。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ