銀魂

□Talking is not something secret
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(何でこんなことになってんだ?!)

土方は自問自答するが、答えは簡単。
自分が近藤に今日のことを話してしまったのが悪い、それ以外のなにものでもない。


今、土方はプールサイドでイライラとしている。
九兵衛に泳ぎを教える役目は、なぜか総悟に取られていた。


全員着替えが終わり、プールに集まって早々、近藤が妙に殴られ、気を失った。
あわてて近藤を医務室に運び、戻ってきたらすでに総悟が九兵衛に泳ぎを教えていたというわけだった。


総悟は九兵衛が男にさわられると投げてしまうことを知ってるからか、さわらないように気をつけて泳ぎを教えている。
プールサイドにつかまってのバタ足と息継ぎの練習をさせていた総悟が
「んじゃ、次はビート板でも借りて泳いでみやしょうかねェ。」
と言った。


泳げない人間を無理にプールに放り込んで苦しむさまをみて笑うのがドSじゃないのだろうか?

なのに九兵衛には割りと優しく接しているような気がする。

「ビート板?
沖田くん、ビート板とは何だ?」
「あんたみてェな泳げない人が使う道具でさァ。
ほら、一緒に借りに行くから付いてきなせェ。」
「うん、ありがとう。」

やっぱり九兵衛には優しいような気がする。

水着の面積は泳ぎに関係ないと土方が言ったせいか、今日の九兵衛はビキニではなく、普通の水着だった。
いや、本当は普通と言うよりはスクール水着みたいだった。
髪型はツインテールなので、いつもより幼い印象を受ける。
が、
「やっぱ九兵衛はポール美乳マンだなぁ。」
と銀時が九兵衛の水着姿を見たときに呟いただけあって(その時は足を思いっきり踏んでやった)子供体型ではない。

そのギャップが男をひきつけるらしく、九兵衛を見てひそひそと話してる男は何人もいる。

そして総悟はドSだが、見た目はさわやか好青年で、女性の目を引いている。

つまり、この二人は周囲の注目の的になっているのだ。

「可愛いカップルね。」
「ほんと、可愛らしいわね。」
「泳げない彼女に必死で泳ぎを教えてる彼氏っていいよね。」
「そうね、見た目が可愛らしい同士な上に、一緒に借りに行くから付いてこいなんて彼女にいっちゃう彼氏、いいよね。」

総悟と九兵衛をみていたらしい女二人組みがそう言ってるのをきて、土方のこめかみに青筋が浮かびあがる。

しかも、プールから先に上がった総悟がさりげなく九兵衛に手を出し、その手を九兵衛が自然に握ってプールから上がってるのをみて、浮かぶ青筋は二つに増えた。

「九ちゃん、俺にさわっても平気ですねェ。」
「ああ、確かに。
僕は今、君を投げなかったな。
沖田くんは男っぽくないからかもな。
綺麗で女の子みたいな顔をしているから、違和感がなくて投げないのかもしれない。」
「男に綺麗で女の子みたいなんてほめたことになりやせんよ。
あんまり嬉しくねェでさァ。」
「それは悪かった、不快にするつもりは無かったんだ。」

ここらが土方の我慢の限界だった。
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