銀魂

□私立・万事屋学院高校
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私立・万事屋学院高校。

教師も生徒も個性豊かなものが多い、男子校である。

その学院の2年1組の担任・坂田銀時はいつもやる気のなさそうな男である。
授業中でも棒つきの飴をくわえ、死んだ魚のような目、国語教師なのになせかだらしなく白衣を羽織っている。
その銀時がリクルートスーツをきた小柄な女性を伴って教室に入ってきたので、いつもは騒がしい生徒たちはシーンとしていた。

「このクラスがこんなに静かなの初めてじゃねぇの?
まぁいいけどよ。
言い忘れてたけど、今日から一ヶ月教育実習にきた柳生九兵衛ちゃん。
男みたいな名前だけど女の子だから。
よろしくね。」

銀時は相変わらずやる気のなさそうな態度でそういった。

「先生、どうしたらそんな大事なことを忘れてしまえるんですか?」
このクラス一の常識人・志村新八が銀時に聞く。

「そりゃ、銀時がバカだからじゃねぇの?」
左目に眼帯をしたこのクラス一の不良・高杉晋助が頬杖をつく。
「高杉ー。
お前いつも授業サボってんのになんで今日に限って学校来てんの?
お前がいたら九ちゃんに俺がきちんと教師してないことばれるじゃん。」

自分でばらしてるだろうが!!
教室中の生徒が心の中でだけそう突っ込む。

そして目は自然と銀時の隣にいる柳生九兵衛に向く。
おろせばさぞ艶やかであろう髪をポニーテールにまとめている。
白い肌に不釣合いな黒い眼帯を左目につけているが、それでも顔立ちの端正さと、その美しさは隠せない。
男みたいな名前だが、リクルートスーツの上からも分かる華奢さと胸のふくらみはどうしたって女にしか見えない。
背も低いし自分たちより年下にしか見えないが、教育実習生と言うことは大学生だ。
全員ぼーっと柳生九兵衛を見ていた。

「九ちゃん、みんなに挨拶して。」

銀時に九ちゃんと呼ばれた実習生は銀時の口からいきなり飴を引き抜き、それを教室の一番後ろにあるゴミ箱に向かって投げた。
飴はきれいな弧を描き、ゴミ箱に入った。

「おおっ!!」
思わず拍手する生徒たちに構わずに九兵衛は
「銀時、未だに授業中に飴をくわえているのか!
仮にも教師だろう、やめろ!」
という。

実習生が担任を銀時と呼び捨てにしたことで、生徒たちは唖然として拍手をやめた。

しかもしゃべり方はまるで男だ。
見た目は女なのに。

「えーと…坂田先生と九兵衛先生は知り合いですか?」

このクラスの学級委員長の桂小太郎が尋ねると九兵衛は
「僕は銀時の妻だ。」
と言った。
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