銀魂
□そんな君でも愛してる
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僕は目の前でただの紙切れになっていく写真を呆然と見ていた。
写真を紙切れにした本人は、僕を無表情に見下ろしていた。
「こんなものいらねぇだろ。
っつか、なんで万事屋や小栗旬之助がいるんだよ?!
この変な長髪とグラサンは誰だ?!」
土方くんの言葉に
「それは土方くんと付き合う前のことで、一緒に竜宮城に行ったメンバーなんだ。
なんか、色んな亀にたまたまみんな同じときに竜宮城に誘われて…。
それで東城が誕生会によんでくれたけど、長髪の人の名前は分からない。
サングラスの人は長谷川さん。
小栗くんは友人だし…」
さすがに真選組の副長をしてる土方くんに攘夷浪士の桂くんのことは言えないから知らないことにして、他の人についてはそういいかけたけど、見上げた土方くんの目があまりに冷たくてそれ以上は言えなかった。
何がいけなかったんだろう?
忙しかった小栗くんが、僕の誕生会の時の写真をやっとできたよと送ってきてくれた。
僕と土方くんは今は恋人同士だけど、その時はまだ付き合ってなかった。
だから今年はこんな誕生会をしたけど、来年の誕生日は土方くんと一緒にすごせたらいい、そう思ってその写真をみせただけなんだ。
それなのに、土方くんはその写真をみたとたん、びりびりに破り始めた。
小栗くんからもらった写真はただの紙切れになって、真選組の屯所の土方くんの自室の畳の上に散らばっていく。
「さすが柳生家の令嬢だな、超人気俳優さえも呼べるって言うことか?」
「何を言ってるか分からない!
僕は令嬢だなんて…」
そう言った僕の肩を土方くんが掴む。
その力は強くて僕は顔をしかめた。
「令嬢だから人気俳優と結婚すんのか?
セレブと結婚すんのか?
それとも、初めてさわれた男だっていう万事屋と結婚すんのか?」
土方くんは普段から目つきが悪いけど、今は完全に目が据わっていて目の前にいる土方くんはいつもの土方くんじゃないみたいだ。
「なんで結婚とかの話が出るんだ?
君にだっていろいろな過去があるだろう?!
でもそれを含めて今の君がいると思ってる。
だから僕はその過去を責める気はない。
同じように僕にだって今の僕を作ってくれた過去がある。」
「はっ…そうか、だったら俺は過去なんかいらねぇよ。
お前との未来だけあればいい。
だからお前もそんな過去捨てろ!」