銀魂

□一生分の恋をした
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土方は約束の30分前に待ち合わせ場所についてしまった。

一ヶ月ぶりに恋人である九兵衛と会える。
お互いに、恋以外にも守らなければならないものを持っている身だ。
なかなか会えないことが多いが、それでも一ヶ月も会えなかったのは初めてではないだろうか?
それに大体は土方の仕事の都合が付かないことが多いのに、今回、一ヶ月も会えなかったのは九兵衛が忙しかったからだった。

「すまない。
今、道場の派閥争いが激化していて、次期当主として看過できないところまで来ている。
しばらくは会えそうもない。」
そんなあっさりとしたメールが来た以降は、土方が電話をすれば出てはくれるがすぐに
「すまない、今はいそがしい」
と切られ、メールをしても返事が返ってくるのはもうすでに土方が寝てしまっている深夜だった。

それでも土方が文句も言わなかったのは、普段は自分がそれを九兵衛にしていること、九兵衛はそれについて何の文句も言わないこと、そしてやはり、九兵衛を好きだからだ。
忙しいのなら無理をさせたくない。
そう思っていた。

だから九兵衛から
「急で申し訳ないが、明後日、会えないだろうか?」
と言われたとき、やっと道場の方が落ち着いたのだろう、ゆっくりすごしたいからその日は絶対に有給をとろうと決めて、実際に有給をもぎ取ってきた。
自分らしくないとは思ったが、久しぶりに会えるのが楽しみで早いだろうとおもいつつも約束の30分前に待ち合わせ場所についてしまったのだ。
久しぶりに会うせいか、少し緊張している。

自分より年下のガキ相手にらしくねぇとも思うが自分は九兵衛をそれだけ好きなのだ。

約束の時間の10分前、土方が五本目のタバコを吸い終ったとき、九兵衛が歩いてくるのが見えた。
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