黒子のバスケ

エリートヤンキー・桃井さつき
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今年の一年生にはキセキの世代のマネージャーがいる、そう聞いた正邦のバスケ部の面々は、キャプテンの岩村を始め、彼女はバスケ部に入部するものと思っていた。

しかし、キセキの世代のマネージャーは新学期が始まっても入部しない。
業を煮やした岩村は一年生の津川にキセキのマネージャーを勧誘に行かせることにした。

「なんて名前のやつですか?」
と聞く津村に
「お前、あのキセキの世代のマネージャーの名前をしらないとか本当に帝光と試合したのか?
桃井だ、桃井さつき。」
と岩村が呆れていたら、津村が
「へ?
桃井さつきっすか?
クラス同じですけど、あいつ、エリートヤンキーですよ?!」
と叫んだので、岩村は唖然とした。



津村いわく、桃井さつきは表向きはものすごい優等生だと言う。
入学してすぐの学力テストで学年トップを取った。
見た目も非常にかわいらしい。

制服も着崩すことはせず、先生にも先輩にも礼儀正しく、同級生には笑顔で明るく接する。
ので、教師受けもいいし、先輩(男子)受けもいい。

そんな目立つ彼女に目をつけたらしい三年の女子グループがある日、彼女を呼び出したそうだ。
何があったかは分からないが、翌日から三年の女子グループは桃井さつきを
「さつきさん。」
と呼ぶようになったということだ。

昼休みは彼女たちがさつきに色々と食べ物を提供してるとのこと。
それも、並ばないと買えないような人気なスイーツやパンだという。
ちなみにさつきがお金を渡してるそぶりはない。
よって、周りはみんな、桃井さつきが三年女子グループを返り討ちにし、従えているのではないかと思っているとのことだった。

それで付いたあだ名がエリートヤンキーというらしい。
この場合、ヤンキーのエリートという意味ではなく、エリートなのにヤンキーという意味になるそうだ。

「いや、桃井ってそういうタイプじゃなかったと思うが…」
津川の話を訝る岩村に
「それなら三年女子のヤンキーグループに聞いてみればいいんじゃないっスか?」
と津村は答える。
「とにかく、人当たりはいいし、綺麗だけど、バスケ部のマネージャーやるような女じゃないと思う…」


津村の言葉に岩村はその女子たちに話を聞きに言った。

岩村は同じ学年だから、彼女たちが二年の頃にすでに上の学年の不良たちにも畏怖されていたのを知っている。
そのヤンキー女子が桃井さつきには従っているというのがものすごく意外だった。

最初は渋ってた女子たちだったが、ごつい岩村が丁寧に頼んだことが功を奏したのか、重い口を開いてくれた。

「さつきさんは、いい思い出がバスケにはないから、もう二度とバスケは見たくないって言ってたけど…」

「そうか。
それとは別に聞きたいんだが、お前らはなんで桃井に従ってるんだ?」

岩村の疑問には
「ボコってやろうとしたら、逆にやられたから…
あんな見た目だけど、さつきさん、かなり強いから。
強くて見た目もいいとか、すごいよなー。」
と三年女子たちは目をキラキラさせ、桃井さつきを尊敬してる風だった。

正邦高校のヤンキーグループが尊敬するなんて、桃井さつきはなんだか分からないがエリートヤンキーであることは間違いないのだろうと岩村は思い、頭を抱えたくなった。

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