黒子のバスケ

君が全て
2ページ/6ページ

「試合、勝ったよ。」
ベンチにのっそりと現れた紫原はさつきにぎゅっと抱きついた。

「うん、お疲れ様。
かっこよかったよ、ムッくん。」
さつきは紫原の背中に腕を回して、背中を優しく叩く。

今日は3軍の練習試合があった。
そして1軍からは紫原とさつきが参加することになった。

『帝光とはいえ、三軍はよぇーな。』
会場からそう野次が飛ぶほど相手との差がついた時、ベンチでひたすらお菓子を食べてた紫原がのっそりと立ち上がって3軍の監督に言った。
「オレ、試合に出たいんだけど。」

そうしてコートに出た紫原を誰も止められなかった。
結果、あっという間に帝光は逆転して、ダブルスコアの大差で勝った。

紫原はもともと好戦的な性格だ。
それでも赤司によれば、さつきと付き合い始めて大分丸くなったとのことだが、さつきから見れば今も充分、好戦的だ。
だからこそ、一人でダブルスコアまで差をつけてしまうのだろうが。

練習は嫌い、バスケも好きじゃない、だけど才能があるからやってる、そう公言してる紫原だけれど、負けるのは誰より嫌いなのもさつきは知ってる。

「頑張ったね。
かっこよっかったよ、もっともっとムッくんのこと好きになったよ。」
さつきは回りに他校の生徒や3軍の選手や監督がいるにもかからず、そう告げる。
「ありがとー。
さっちんはとっても可愛いよー。」
紫原はさつきをさらに強く抱きしめた。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ