黒子のバスケ

君が全て
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「10分休憩!」
赤司の声が体育館に響いて、部員達はホッと息をつく。

「お疲れ様!
はい、タオルとスポーツドリンク!」
そんな部員達にさつきはスポーツドリンクとタオルを配る。

「桃井、今のミニゲームどう思った?」
さつきがタオルとスポーツドリンクを配り終えたのを見て、赤司がさつきに声をかけた。

「次の日曜日の練習試合に備えてってこと?」
「そうだ。」
「赤司くんは最初から出ないんでしょう?」
「ああ。」
「それなら…」
さつきが今のミニゲームのスコアブックを赤司に示しながら何かを話そうとした時だった。

「さっち〜ん!」
名前を呼ばれると共に後ろから急に抱きつかれ、さつきの手からスコアブックが落ちる。

「くっ、苦しい…ムッくん…」
自分よりはるかに大きな紫原に後ろからギュッと抱きしめられて、さつきは苦しそうにしてる。

「敦!
いつも力の加減をしろと言っているだろう!
桃井が潰れる!」
赤司が落ちたスコアブックを拾うとそれで紫原の頭を叩く。
ばしんと結構いい音がしたが、紫原は
「赤ちん、痛い〜」
と言うだけで、一向にさつきを抱きしめる力を緩めない。

「敦!」
「ムッくん苦しい…」
「やめろ、さつきが死ぬだろ?!」
「やめるのだよ!
本当に桃井が苦しそうなのだよ!」
「ちょ、紫っち!
死んじゃう、桃っちが死んじゃうから!」
「紫原君は自分の力が強いことを自覚しなさ過ぎです。」
青峰、緑間、黄瀬と黒子も近寄って、何とかさつきと紫原を引き離す。

さつきの顔が赤くなってて、本当に苦しそうなことに気が付いて紫原は
「さっちん、ごめん。」
と謝った。

「うん、もう大丈夫。
でも次からはもう少し優しくしてね。」

(((((優しくしてねだと?!)))))
そのせりふにあらぬ想像をかき立てられ、黙ってしまった5人に気が付かず、紫原は
「うん!」
と頷き、さつきも嬉しそうに微笑んだ。

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