黒子のバスケ

今宵の月は美しい
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IHを無事に決め、練習が厳しさを増してくる日々の中で、今日も無事に練習が終わった。

「あー、今日も疲れた。
メシでも食いにいかねーか?」
木吉の言葉に伊月が即答する。

「オレ、約束があるからパス。
そんじゃお先に。」
伊月はさっさと着替えると部室を出て行く。

「最近さ、伊月、部活終わるとすぐに帰るよなぁ?」
小金井に全員が同意した時、誰かの携帯の着メロが響いた。

「どうしたんですか、青峰君。」
どうやら鳴ったのは黒子の携帯で、かけてきたのは青峰だったらしい。

黒子が携帯に出たのを見ていたメンバーはそれが分かって興味をなくし、それよりも最近さっさと帰る伊月に、もしかして彼女ができたんじゃないかなんてことを話していた。

「でもあの駄洒落センスについていける子がいるのか?
しかもあいつんち、家族全員駄洒落好きとか言ってたし。」
日向の言ってることは最もなのだが、
「でも桃井ちゃん、爆笑してたじゃん!」
小金井の叫びにみんながそうなんだよなぁと思った時、携帯をしまった黒子が立ち上がった。

「青峰君から電話で、桃井さんが最近、部活終わった後で伊月先輩と会ってる、あの二人は付き合ってるのかって聞かれたんですけどご存知ですか?」

無表情な中に驚きを滲ませている黒子だけど、そこにいたメンバーの方がもっと驚いている。
だってそんな話、聞いたことがない。

誰も何も言えない中、
「とりあえず、青峰君が桃井さんのあとをこっそりつけていて、今、うちの学校の近くのファミレスにいるそうなので、行ってきます。」
と黒子が立ち上がる。

「オレたちも行く!」
日向たちは興味本位でそう言ったけど、
「いえ、青峰君だけでも目立つので、大人数で行くのは得策ではないと思います。
何かわかったらメールしますので。」
黒子はさっさと部室を出て行ってしまった。

「でも桃井ちゃんと伊月が?
桃井ちゃんって黒子が好きなんじゃないの?」
小金井は首をかしげている。

「好きっていうか、あれはアイドルへの憧れみたいなもんじゃないか?
なんかあの子の黒子への好きって、異性への好きって感じがしないんだよな。
それで黒子もそれを分かってる。
自分へのあの子の気持ちが本当の恋じゃないって分かってるから、あの子になびかないんだと思うぞ。
まぁ内心で黒子が彼女をどう思ってるかは分からんが。」

木吉の言うことがなんだかそんなように、その場にいた誠凛のメンバーには思えてきた。

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