黒子のバスケ

悪童と天使
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でこピンをされたはずのさつきは
「そんなこと言っても、花宮さんのでこピン、全然痛くないもん。」
と笑っている。

「当たりめぇだろ、バァカ!
女に本気ででこピンするやつはクズだ。」

悪童にも一応、悪童なりの正義があるのか!
五人はそう思った。

さつきはおでこに手を当てたまま、嬉しそうに笑う。
「私、花宮さんのそういうとこ好きです!
だからもう少し、バスケでもフェアにやってくれると嬉しいな。」

「ふはっ、バカじゃねーの、お前!
勝ちに卑怯もくそもねーよ!
フェアとかありえねーよ!」

花宮はもう一度さつきにでこピンをしようとしたけど、さつきはそれを避けて笑う。
「そうですか、でも知ってますよぉ。
ここ最近の霧崎第一戦で誰も負傷者がでてないこと。」

「バァカ!
うるせーんだよ!
ほら、桐皇戻んだろ、バァカ女がまたどっかのバァカ男に捕まってもオレは困んねーけどな、今吉が自分とこのマネに何かあったら文句いいそうだから送ってやるよ。」

花宮は折角避けたさつきに再びでこピンをする。
だけどその顔は『悪童』と言われている男とは思えないほど優しかった。

さつきは自分のおでこを撫でて笑う。
「ありがとございます、だからやっぱり花宮さんって好き!」

さつきは花宮の腕に自分の腕を絡ませたけど、花宮は振り払ったりもしなかった。

「バァカ!
オレはお前なんか好きじゃねーよ。
けど変な野郎に掴まんねーよーにオレから離れるんじゃねーぞ。」
花宮はさつきの頭を乱暴に撫でると、微かに笑った。

花宮とさつきは五人に気が付かず、そのまま歩いていく。
二人の姿が見えなくなった後で、高尾は呟いていた。

「何あれ、あれが無冠の五将の一人、悪童・花宮真なの?!
ただのツンデレじゃん!
っつか、あれにあんな顔させる桃井ちゃんがすげぇよ!
キセキの世代はマネージャーもキセキかよ、つーかハイスペックマネジだな!
悪童をツンデレに変えるのか…!
あれはもう天使だよ、真ちゃん!」

「桃井さんが天使だということには同感ですが、花宮さんになついてる桃井さんを見るたびに、僕は青峰君への殺意が沸きます。」

「本当なのだよ。
桃井は確かに天使だが、あの時、青峰がバッシュの紐に気が付いて自分で持ってきていれば、桃井はあんな男になつくこともなかったのに…!」

「ホント桃っちの天使さに比べて、青峰っちはダメな人っス!」

「僕、赤司君に連絡しておきます。」
「そうっスね。
これ以上、桃っちが花宮になつかないようにしないとまずいっス!」
「本当なのだよ!」

黒子が携帯をとりだしたのを見て火神も高尾も思う。

青峰、ご愁傷様。

あとな、お前ら、あれ、なついてるって言わないから。
あの二人、お互い気がついてないだけで、両想いだから。
桃井ちゃんは花宮のこと好きだし、花宮も桃井ちゃんのこと好きだから。
っつかいいなぁ、あんなんでもあんな可愛い子に好かれてさ。

っつかキセキの世代みんな、ご愁傷様。
今更対策とか、もうおせーよ。

黒子の携帯から漏れ聞こえる赤司の声と、ギャーギャー言ってる黒子と黄瀬と緑間をみながら、二人は心の中でそっと手を合わせた。

END

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