黒子のバスケ

I love you forever
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日曜日、青峰は思ったとおり練習をサボった。
なので、火神が迎えにくることは青峰にばれないだろう。

練習自体は12時に終わって他の部員は帰っていったが、さつきは最後まで練習に来なかった青峰に怒る若松をなだめすかしながら、今日の練習の反省点と、そこからの来週の練習試合の対策を話しあって、それが終わったのは1時ちょっと前だった。

「体育館の点検と鍵はオレがやるから、桃井はもう帰っていいぞ。
お疲れ。」
若松からそういわれ、さつきは笑顔でお疲れ様と頭を下げると、体育館を出た。
もうすでに、そこから校門前に立っている火神が見える。
かがみん背が高いから目立つなぁ、そんなことを思いながらさつきは火神に向って手を振る。
それに気が付いた火神が軽く手を上げたので、さつきはもう一度手を振ると急いで靴を履き替え、火神の元に向った。

「ごめんね。
お待たせ。」
「待ってねぇ。
っつか、男は女を待つもんだ。」
火神のせりふにさつきは驚いてしまうが、すぐに彼が帰国子女だったことを思い出す。
だからレディファーストが身についているんだろう。

「かっこいいね、かがみん。
ところでテツくんは?
まだ来てないの?」
さつきは黒子がいないことに気が付いて火神に聞く。

火神はしばらくさつきを見ていたが、やがて重い口を開く。

「なんで黒子もいると思った?」
「なんでって…だって二人とも、いつも一緒じゃない?」
「でも、バッシュもらったのはオレで黒子じゃない。」
「それは確かにそうだけど…。」

てっきり黒子も一緒だと思っていたさつきはちょっと落ち込んだ。

さつきのテンションが下がったのに気が付いた火神は眉間に皺を寄せる。
「あんた、なんでそんなに黒子がいいんだ?」

さつきは黒子黒子と黒子に一途だけど、黒子の方はさつきに恋愛感情はない。
さつきのメアドを聞くついでに火神は黒子に聞いたのだ。
「お前は元カノを好きじゃないのか?」
と。

黒子は言っていた。
「好きか嫌いかと言われれば好きです。
彼女は帝光の優秀なマネージャーでありながら、帝光の理念には染まっていない。
バスケに対する姿勢は選手と遜色ないのに、勝つためではなく、バスケを純粋に好きだという気持ちが伝わってくる。
バラバラになった僕たちにそれでも変わらず接してくれて、青峰君を支え続けている。
火神君が以前言ったように可愛らしい人ですし。
だけど、それは友達としての好きです。
異性としては彼女を見れません。」

つまり、さつきの黒子に対する想いは報われることはないのだ。


「アイス、くれたの。」
黒子とのやり取りを思い出していた火神にさつきが言う。

「アイス?」
「そう。
アイス。」

さつきは火神を見上げて微笑んだ。
その笑顔はキラキラしている。
火神はその笑顔に自分でも顔に血が上っていくのが分かった。
可愛い、キレイ、そんな言葉じゃ足りない。
目の前のさつきはそんな言葉で言い表せないほど魅力的に火神の目に映った。

次の瞬間、火神はさつきの手を取ると、足早に歩き出していた。

さつきの方はいきなり火神に手を繋がれ、ぐんぐん引っ張られて目を丸くする。
え?私、何か言った?
そんな感じだったが、火神の足の速さに付いていくので精一杯で何も言えなかった。

火神はそのまま見つけたコンビニに入っていき、さつきと手を繋いだままそのコンビニで一番高いアイスクリームを選び、会計を済ませて外にでると、それをさつきに渡した。

「え?
あの…なに…?」
戸惑うさつきに火神は言った。

「アイス。
アイスなら、いくらでもおごってやる。
黒子は一回きりだったろーけど、オレはあんたのためなら毎日毎日、アイスおごってやる。
だから、黒子じゃなくてオレを選んでくれ。」

火神の鋭い目に宿る熱をさつきは確かに感じて、頬が火照っていくのが分かる。

やだ、どうしよう。
超ドキドキするんですけど…。

火神にじっと見つめられて、ドキドキするのに目をそらすこともできないまま、さつきは火神を見つめていた。

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